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考察: 対面でのイベントはこれからもあるのだろうか?

パンデミックから2年間が過ぎ、私たちは皆、物事が日常に戻ることを心から望んでいる。いわゆるニューノーマルではなく、大きなイベントにマスクやソーシャルディスタンスなしで参加できる、そのような日常のことである。思い出せる限りでは、イベント業界で主流だったのは対面交流だが、新型コロナウイルスはまったくこの対極にあるのだ。イベントは対面のものからバーチャルなものに置き換えられたが、バーチャルイベントは何回かで飽きがきてしまうものではないだろうか? だがその一方、新型コロナウイルス環境下での対面イベントには、だれも望まないリスクがある。新型コロナウイルス以前の素晴らしい日々にいつかは戻れるのだろう、あるいはバーチャルのままで行くのだろうか?

予定されていたイベントにパンデミックが影響を与えたことは否定できない。対面イベントがいたるところで延期されたことで、業界は完全にお手上げ状態になった。それに加えて、私たちのイベントに対する考え方も急激に変化した。多くの人たちと閉ざされた空間にいることが心地良かったのだが、真逆に感じるようになってしまった。以前は大きなパーティーで元気をもらったり、好きなミュージシャンのコンサートライブを見たり、すし詰めのアニメコンベンションに行ったりする最高の時間があった。新しい経験をもたらす対面イベントは人々に愛されていた。しかし今日では、新型コロナウイルスの心配なしで人に出会うことができなくなっている。

 

Image courtesy of EDM Identity.

この困難な状況の中、イベント主催者は参加者の健康を優先しながら、 対面イベントを開催するうえで創造性を発揮することができた。ソーシャルディスタンスを保ったドライブインコンサートから、指定されたボックスシートと感染防止用のプラスチック製の衝立まで、この困難な時期に業界ではいろいろな取り組みを行ってきている。しかし正直なところ、以前とは異なる対面イベントを実施する意味は何なのか? 安全な家にいればいいのに、わざわざイベントに行く必要があるのだろうか? 単に現状を受け入れるべきなのだろうか?

ワクチン接種を待つべきなのだろう。みんながワクチン接種を受ければ、人と集まることについてもっと安心でき、気にならなくなるのではないだろうか。結局、人間というのは身体的な触れ合いを好む社会的動物だ。しかし、人と会うことで掛かる手間以上のものを得られるのだろうか? ワクチンの接種が済んでいるモデルナ子やファイザー姫であっても、ウイルスの引き起こす症状が軽くなるだけで、感染しないわけではない。仮にお気に入りのミュージシャンがソーシャルディスタンスを守ったコンサートをしているとする。その場合、行きたいと思うことは良くないことなのだろうか? あるいは行かない人が行く人にそれは正しいことではないと言えるだろうか? たかがコンサートでしょ? そのうえ、参加者も全員ソーシャルディスタンスを守っているだろう。世界的パンデミックの渦中で対面イベントに参加する際に、正しいことと正しくないことの判断をどうしたらよいのだろうか?

 

Image courtesy of BBC.

バーチャルイベントは、すぐに新型コロナウイルスの解決法になった。しかし大きな集まりが好きな社交的な人間にとって、バーチャルイベントは眠ってしまうほどつまらないものだろう。一方で内向的な人にとって、バーチャルイベントは遊び場になるのではないだろうか! 新型コロナウイルスの2年間で、Zoomやインターネットを使って異なる時間帯と場所で多くの人々が普通につながることができるようになってきている。バーチャルレース、バーチャル読書クラブ、バーチャルファッションショー、バーチャルコンサート、バーチャル授賞式は、その恩恵で誰でも参加できるバーチャルイベントとなってきている。まるでディズニーの『High School Musical (ハイスクール・ミュージカル) 』のように、僕らはみんな一緒にいる。しかし『High School Musical』でさえ永遠に続くわけではない。仮にイベント業界がバーチャルイベントを運営することを通じて社会的相互作用の欲求をなくそうとしても、現実の個人的なつながりに対する欲求を十分に満たせるのだろうか? バーチャルイベントの狙いが新型コロナウイルスのまん延に注意しながら社会的相互作用を維持することであるならば、なぜ私たちの多くがそのリスクにも関わらずいまだに実際の出会いを好んでいるのだろうか?

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どうやって本物のつながりを作るのか、今が考え直す時ではないだろうか。そしてこれがバーチャルに作ることが可能なのかについても。しかし、そんなすばらしい選択肢があるのだろうか。以前のような対面イベントにいつ参加できるようになるかは多分、誰にも分からないだろう。未来の無限の可能性に惑わされないで、知っていることから始めよう。対面とバーチャルの両イベントとも世界中で開催されており、両者にメリットとデメリットがある。対面イベントでもバーチャルイベントでも、どのイベントを選ぶのかは自分次第だ。だから、賢い選択をすべきだろう。なぜならこれにより状況を一変させることになるからだ。

 

Written by Vania, translated by Toshi.
Featured image courtesy of BBC.

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