ザ・モデル
ON-1 Collective (※) のイベント「Vol. 6」での、『The COMM』のファッションショーは、Vol. 1 に登場したすべてのテーマの総まとめとなった。様々なファッションを1つのショーに集めることで、『The COMM』を完璧に表現する――コミュニティーのファッションの多彩さを披露するのだ。モデルたちは個性的なスタイルで第1号から第6号までのテーマを体現した。コーディネートを分析しながら、それぞれを再び紹介しよう。
※ON-1 Collectiveはメディアプラットフォームで、東京に活動の拠点を置くクリエイティブなコミュニティーを毎月紹介するイベントです。
ちゃみ
ショーの幕開けは、第3号「『カワイイ』革命」から、ちゃみさん。彼女の色鮮やかなコーディネートは、ショーのスタートにぴったりだった。足を踏み出した途端、会場中のケータイが向けられた。
大きいグラフィックがあしらわれた、ほとんどがピンク色のコーディネート。黄色いタイツと、透け感のあるホログラフィックジャケットを合わせた。そして髪には、たくさんのリボンとヘアクリップ、他にもカラフルなアクセサリーを奔放に飾った。偶然の取り合わせのようにも見えるが、それぞれのアイテムが、テーマや全体のトーンにぴったり合っていた。
ちゃみさんについてもっと詳しく知りたい方は、第3号 (Vol. 1) 「『カワイイ』革命」をチェックしてみてください。
ぴょん
次の出番は、創刊号の「コミュニティー」に登場したぴょんさん。ちゃみさんとは対照的に、暗めのコーディネートだ。しかし暗い色だからといって、控えめという意味ではない。
やたら長い袖のシャツの上に重ねた、フェイクファーのついた黒い大きめのトップスは、さもなくばやり過ぎになってしまいそうなわたしたちのショーに、落ち着いた気品を加えてくれた――主張するのに派手さは必要ない。
アンサンブルを構成するそれぞれのアイテムを統一するのは、ブラックとゴールド。黒いリップの中央に、わずかにゴールドをあしらい、刈り上げヘアに少しばかりのネオンゴールドを施して、コーディネートは完成。
ぴょんさんのインタビューを読んでみたい方は、第1号 (Vol. 1)「コミュニティー」をご覧ください!
ウーマ
3番目のモデルは、第4号「サイバー」を代表してウーマさん。ネオンのカラーや柄、アクセサリー…出力は最大!
ぶつかり合うモチーフ、柄や生地を重ねに重ねたのがウーマさんのコーディネート――クラフト用品店で見つかるようなものをびっしり貼りつけた。すべてのアイテムがお互いを引き立て合うなんて (ましてやランウェイにぴったりなアンサンブルになるなんて) 信じがたいが、ウーマさんは両方を軽々と実現してしまった。
コーディネートは「進化版ストリートファッション」といったところで、このイベントの雰囲気の中では全く違和感なし。DAISOグッズでおしゃれは無理なんて言ったのは誰?
彼女の予測不可能なコーディネートを見るには、第4号「サイバー」のフォトシューティングをチェックしてください。
いちか
次にランウェイに登場したのはいちかさん。彼女もまた「サイバー」というテーマを表現している。1つのジャンルの中にも、様々なスタイルが存在するのだ。そしていちかさんは、完璧な自分のスタイルを披露してくれた。
レイブミュージックの大ファンである彼女は、レイブ・カルチャーとファッションを合わせる。出来上がったのはパンチの効いたコーディネート!
準備には4時間もかかったが――たった10分のショーのために!――そのかいがあった。コーディネートの基調となるのはミニスカートとブラレット (露出度高めなのに、カラフル) 。メインとなったのはアクセサリーだ。
「Kandi (キャンディー) 」のブレスレットは手首から腕までたくさんはめた。それぞれのブレスレットは、PLUR (レイブに行く人のモットー: 平和、愛、調和、尊敬) を通した過去のつながりのシンボル。Kandiのネックレスやベルトと一緒にうねらせながら、ランウェイを踊り歩き、観客を驚かせた。彼女は本当にレイブをランウェイに連れてきたのだ。
いちかさんをさらに観てみたいですか?第4号「サイバー」、ネオン天国でのフォトシューティングをご覧ください。
アンジ
続いて第6号「ネオ・トラッド」を代表して、「SALZ Tokyo」のアンジさんが登場した。「ネオ・トラッド」は、伝統的な衣類を今の世代の好みに合うように、新たに考案して紹介しようとするもの。着物より優れた表現が他にあるだろうか?
しかし、これはただの着物ではなかった。だってヒョウ柄の着物を見たことなんてある? 着物のスタイリングの女王・アンジさんは、やや控えめな衣服に先鋭的なセンスを加えた。赤と金がアクセントになった帯は、アニマル柄の着物を引き立たせる。
他のアクセサリーは、白いハーネスと赤いチョーカー。普通は着物には合わせないが、それこそが「ネオ・トラッド」の本質だ――伝統的なコーディネートを再解釈したり、アップデートしたりするということ。彼女の髪型は独特だが、かつて宮中の女性もこのようにしていたかも、なんて想像もさせてくれる。
アンジさんの作品を見るためには、第6号「ネオ・トラッド」をチェックしてみてください!
マノン
「ネオ・トラッド」を代表するもう1人のモデルは、マノン・マルグリットさんだ。同じく着物の着方を新たに考え出すデザイナーである彼女は、古着の着物を解いて再統合し、とても優美で新しいデザインを作る。
この夜のためのアンサンブルは、ピンク色のリボンで飾ったブラと、スリットの入ったロングスカート。最高の着物の生地を、優雅に披露し、軽やかにランウェイを歩いた。あちこちに飾りも付けられていたが、あくまで主役はシンプルで繊細な着物の生地だ。
マノンさんのアイテムは手作りで、生地の量が限られている (着物1着からは1つか2つのアイテムしか作れない) ので、とてもユニークなファッション、ということになる。ランウェイではそうそう見かけないでしょ?
マノンさんとそのブランド「Strawberry Skies」は「ネオ・トラッド」で特集したので、ぜひ他のデザインもご覧ください。
チューム
ランウェイの最後を締めくくったのはわたし、チューム。コーディネートは、特に具体的なテーマを表現するものではなく、『The COMM』そのものと、そのピンクとターコイズのロゴからインスピレーションを得た。
正直に言うと、個人的にビニール素材の服が好きなので、そこにロゴのカラーを合わせてコーディネートを作り出した。他のモデルたちを輝かせて、この大好きなコミュニティーをちゃんと表現したかった。編集長ではあるけれど、時にはモデルになりすますのも楽しい。だってお客さんは何1つ疑っていないでしょ?
参加していただいたモデルのみなさん、ありがとうございました!工夫されたコーディネートはとても素晴らしかったです。そして『The COMM』の節目として、こんなにも忘れがたいイベントになりました。
IMAGE CREDIT: Gallery images 4, 5, 6, 7 by Issei Makabe