『プラダを着た悪魔』イン トウキョウ!
ファッション業界でのキャリアは、多くの人にとって夢のようなことで、Gaëlle (ガエル) もその一人だった。Instagramで彼女の東京での生活をシェアすれば、従事している広報という夢のキャリアにわたしたちを連れていってくれる。あわただしい日中から仕事後のネットワーク作りまでも、彼女は自分の喜びを追求しているのだ。たとえそれが夜を徹してでも。ファッション業界で働くというのは、どんなものだろうか? 『プラダを着た悪魔』で、描かれたとおりなのか? Gaëlleとキャリアのゴール、個人のスタイル、そして東京での生活について、近況を話し合った。
自己紹介をお願いします。
わたしはGaëlle、フランス人で来日してから5年がたちます。いくつかの日本ブランドで、ファッションのPR活動をしています。自由時間があれば旅行をするのが好きです。
日本のストリートファッションを最初に見つけたのはいつですか?
わたしは、自然がきれいな田舎で育ちましたが、何もすることが無く、住民はとても閉鎖的でした。中学生の頃からファッションに興味があり、黒色の洋服を着るのが大好きでしたが、いつもアウトサイダーのように感じていました。
わたしが14歳の時に、母と日本へ旅行に来ました。当時、原宿の様子は今と全然違い、多くの独創的な人がすばらしい服装をしていました。今でも少しだけ見かけることができますが、10年以上前の面影はないですね。良い意味でショックを受けました。それ以前のわたしには好きなものをなんでも着ていいという世界が想像できなかったのです。街の独創性と雰囲気に、魂を奪われてしまいました。日本のファッション業界はフランスなどの国と比べるとまだまだ遅れていましたが、この時からここ東京のファッションに関わりたくなったことを覚えています。
いくつか好きなブランドを上げてください。
好きなブランドは日本のものが多いですね。とてもクリエーティブなところが大好きなんです。それらブランドのほとんどにはわたしが好きなダークでパンクな雰囲気があります。最近見つけたのはKIDILL (キディル) で、たとえばハジメキノコ氏のようなアーティストと非常に興味深いコラボレーションなどをしています。MAISON MARGIELA (メゾン マルジェラ) 、RICK OWENS (リック・オウエンス) 、ROKH (ロク) 、IRIS VAN HERPEN (イリス ヴァン ヘルぺン) なども好きですね。
広報活動に興味を持ったきっかけは何ですか?
昔からずっとファッションに関わる仕事をしたかったのですが、デザイナーとしてではなく、日本語、英語、そしてフランス語を使いこなすことができるのでコミュニケーションの分野で働くべきだと感じていました。旅行し、人と会い、そしてずっと勉強し続けることができるような挑戦的な仕事をずっとしたかったのです。広報活動にはこれらすべての要素が少しずつあり、多くの興味深い分野が混在しています。部分的ですが創作と美術監修、そして多くのマーケティングとコミュニケーション、加えてイベントの主催などです。広報での仕事の半分はオフィスでコンピューターを使って働き、残りの時間でいろいろな所へ行き、人と会い、手作業をすることですが、このバランスが本当に気に入っています。わたしが好きなのはイベントの主催です。ファッションショーのプロデュースはとてもエキサイティングですよ!
ファッション業界で働くということは、洋服をただで手に入れ、旅行が多く、ランウェイショーに行けると思われていますが、本当のところはどうですか?
もちろん、きれいなデザイナーズブランドを安く買え、パリファッションウィークに毎シーズン行き、ショールームに招待され、興味や関心を引かれる人たちに会うことなどもしますよ。だけど、これが本当の典型的な仕事というわけではありません。いつもこれはおかしいと感じているのですが、パリファッションウィークで働いているというと、みんなわたしがレッドカーペットで素敵な洋服を着て、セレブと最高のファッションショーに参加している姿を想像するんです。これは仕事の1%くらいで、残りの99%は徹夜で働き、スウェットパンツを履き、大きな箱を持ち、あたりを走り回り、ストレスと疲労から泣いているんです。現実は華やさやファッショナブルさから、かけ離れていますよ。
ここまで成功するのに大変な努力があったんですよね。キャリアを追い求める間のプラスとマイナスの経験を教えてください。
働く前に、それまでに経験がなく業界に知り合いがほとんどいない状況でファッション業界に入ることはとても難しいことを知っていたので、大学生の時にインターンシップを始めて自由時間はできるだけ働くようにしたんです。
インターンとして働いたいくつかのブランドは、昼夜を問わずいつでも本当に何でも依頼してくるので、よくストレスがたまってめちゃくちゃな状況に陥ってしまいました。とても大変で疲れ果てたのです。一年以上無給で働いていたので、アルバイトをして大学に行かなければならなくなりました。どんなにわたしが疲れていたか分かるでしょう。とても大変な時期でしたがやり抜いて良かったと思います。この間に多くを学び、たくさんの見返りがありました。いま当時を振り返ると、そのことがわたしを大きく成長させてくれた良い経験だったと分かります。それによりいつもやりたいと思っていた現在の仕事へわたしは導かれたのです。懸命に働きベストを尽くしたことは十分元が取れたのです。
東京に住んでいて好きなことは何ですか?
一番好きなことはここで感じている自由です。なんでかというと東京は大都市なので、することがたくさんあり、とても多くのいろいろな場所があり、そして多くの人たちがいるからです。わたしは何でもでき、どこにでも行け、そしてどんな人にでもなれるように感じていたいのです。わたしは日本のファッションシーンが好きで、人と簡単に会えることも好きなんです。
それに東京は都会なのに海や山まで遠くないということも好きな点です。遠くに行かなくても簡単に素敵な場所を見つけて探検できるんですよ。
5年後に自分がどうなっていると想像していますか?
まだ東京をベースにしてなるべく多く海外へ旅行に行ってますね! 数年のうちにはフリーランスとして働き始めようとも思っています。現在、多くのエキサイティングなプロジェクトに取り組んでいますが、いまのところあまりこのことについてはお話しできないんです。
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Introduction and questions by Ash, translated by Toshi.
Featured image courtesy of Kenta Matsui.