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Fake Star USAのRubab、コロナによるイベントへの影響を語る

Miyavi (ミヤビ)、Seann Bowe (ショーン・ボウ)、LM.C (エルエムシー) ——ライブショーには申し分のない顔ぶれだ。とはいえ彼らはFake Star USA (フェイクスターUSA) で仕事をするアーティストの一部に過ぎない。Fake Star USAは、人気のある日本人タレントを現地アメリカのコンベンションへ派遣するイベント制作会社である。創立者のRubab (ラバブ) さんは、一ファンから始めて今やショーの運営にまで携わる。だが、コロナ禍で対面イベントがほぼ不可能になってしまった昨今、Fake Star USAはタレントとファンの繋がりを保つためにオンライン・プラットフォームに転向せざるを得なくなった。オンラインイベントは対面イベントの代わりになるのか? Miyaviの、素晴らしいギター演奏を再び目にすることが出来るのだろうか? Rubabさんに会って最新情報を伺った。

 

自己紹介をお願いします。

Rubabといいます。Fake Star USAの創立者で社長もしています。主に日本人タレントやクリエイティブたちのためにエージェントやイベントプロデュ―サーを手配しています。

イベント制作会社Fake Star USAについて教えてください。

アニメコンベンションにタレントを招いたり、ツアーを企画したり、当社のタレントを売り込むためのクリエイティブなプロジェクトも手がけています。イベントは主力業務ですが、特に海外での活動のために独自のネットワークとリソースも駆使してタレントの成長をサポートしています。当社所属のタレントは幅広く、アニメ音楽タレント、ロックバンド、DJ、ファッションデザイナー、モデル、プロデューサー、さらには声優、と多彩な顔ぶれです。

イベント制作に携わることになったきっかけを教えてください。

日本語の練習のためにフリーランスで仕事をしたのが始まりで、イベントの面白さを知りました。その後イベントを本気でやろうと決めてファッションショー制作を学ぶためニューヨークシティのFIT (ニューヨーク州立ファッション工科大学) へ進学しました。それまでずっとJ-POPやJ-ROCK、日本のストリートファッションが大好きだったので、10代の頃に壁に貼っていたポスターのアーティストたちと今こうして一緒に仕事をしていると思うと感慨深いです。

 

Image courtesy of @glassmachina.

仕事で、コミュニティの人たちとの面白いエピソードがあれば聞かせてください。

うちのアーティストのバンドメンバーが、ファンからタトゥー用のサインを彼らの身体に描くよう頼まれることがあります。メンバーはこのリクエストにいつも緊張して、失敗しないように必死になるんですね。それがとても可愛いんです。タトゥーをしたファンが多いLM.Cならではのエピソードですね。

ツアーを運営し、コンベンションに参加することの醍醐味は?

色々な所へ旅行して、その土地の名物をクルーたちと味わえることです。たとえばホノルルのような土地や地元の方々との素晴らしい思い出がたくさんあります (ポキとマラサダ、深夜のファミリーレストランZippy’sをファッションチームで満喫!)。ダラスでは夜中に何度もタコスの店Salsa Limonへ行き、バンドのみんなを連れてハンバーガー店Whataburgerで食事。ポートランドは観光、コーヒーショップ、どの料理も最高。ミルウォーキーではチーズパーティ…。それから、Miyaviのメンバーたちと行ったヨーロッパツアーでは非合法の「フランス国外持ち出し禁止」チーズを買って次の目的地へ向かう道すがら食べたこともありましたっけ。

大規模イベントの企画を担う一方で、複数のタレントたちとの仕事を調整するのはさぞストレスの多い毎日でしょう。どのように対処していますか?

わたしは高機能不安障害を持っているので、もちろんその対応には苦労しますし、複数のグループを背負って行動するのは決して簡単なことではありません。加えて、この業界でわたしが「外国人」の名前を持つマイノリティの女性であることから来る数多くの差別もあります。そうした中でとりわけ難しい状況を乗り切れたのは、ビジネスパートナーが支えてくれたおかげです。どんな仕事でもスムーズに進めてくれる有能なイベントスタッフにも、本当に感謝しています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大規模な対面イベントは現在めったに見られません。こうした状況の変化にFake Star USAはどのように対応していますか?

わたしたちのビジネスの大半はライブイベントだったので、大変ではありましたが、その間にネットショップを開設したり、オンラインイベントに参加したりと多角化を図ってきました。わたしは新型コロナウイルス感染拡大の最初からずっと東京にいるので、新しい方法でこのビジネスを発展させることができたのです。その方法についてはまだ言えませんが、この秋、当社からあっと驚くような発表ができると思います。

 

Image courtesy of @glassmachina.

最近、みのりさんやRinRin Doll (リンリンドール) さんとオンラインティーパーティーをされましたね。バーチャルイベントが対面イベントに取って代わると思いますか?

わたしはバーチャルイベントが完全に対面イベントの代わりになるとは思いませんが、両者が前進しながら互いに補い合っていることは明白です。去年2つのコンベンションでオンラインコンサートを企画しましたが (V-CRXとDigiKumo)、無観客のオンラインコンサートの場合、需要がよほど高くない限り収益は期待できません。

バーチャルイベントでは、世界中の誰もが参加できます。業界がこの可能性を見い出した今、以前よりも手軽にイベントを開催できるようになりました。需要と予算があれば、バーチャルイベントは今後も定着していくと思います。

オンラインによる経験で失われるものは何だと思われますか?

日本では (コロナ禍による) 規制が緩やかになってきたので観客はマスク着用でショーに参加できますが、パフォーマンスの最中に話したり大声を上げることは許されません。逆にアーティスト側は、無観客のライブ配信よりも、たとえマスクをして無言だろうが観客がいた方がずっといい、と言っています。生ライブでのファンとの交流は何物にも代えがたいそうです。

イベントに参加できなくなって個人的に一番寂しいことは何ですか?

毎年恒例だったイベントでは、いつも歓迎されて嬉しかったことを思い出します。特に、日本ストリートファッション界で今人気のインスタグラマーの多くが、ごく初期の頃からFake Star USAのショーでモデルを務めていたので、たくさんの人が自分のスタイルを年々進化させている様子を見られてとても嬉しいですね。本当に、そういう見事なコーディネートをリアルで見たいです。

 

Image courtesy of @katherinejoycephoto.

コロナ禍によるFake Star USAへの長期的な影響について教えてください。

今ではさまざまなことを提供できるようになったと思っています。大きくグレードアップして帰って来ますので待っていてくださいね! 今後、Fake Star USAがプロデュースする大規模なイベントやツアーをどうぞお楽しみに。今まで行ってきた活動を続けつつ、ここからさらに成長していきたいと思います!

最後にひとことお願いします。

原宿の街はコロナによって大きな打撃を受けています。廃業に追い込まれたり、感染拡大が落ち着くまでは休業しているブランドも多いです。状況が激変する怖れもありますが、最高の日本のストリートファッションをわたしたちのイベントで取り上げることをお約束します。音楽についても同じです。選りすぐりのクリエイティブをお届けできるよう努力しますので、これからも引き続きサポートをよろしくお願いします!

 

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Introduction and questions by Choom, translated by Tomoko.
Featured image courtesy of @katherinejoycephoto.

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