ザ・ストリートスナップ
ファッションに関わるすべての人なら、誰もに待ち望まれたランウェイを歩くことを、一度は夢見るだろう。わたしたち普通の人間にとってはとても達成できないと思えるかもしれないが、みんながいいところを見せられる場所が1つある――ストリートだ。
東京にある多くの道路が歩行者専用になった90年代前半に、「ストリートスナップ」は普及した。これによって思いがげず、新たなストリートカルチャーの可能性が開かれた――若者たちが道を練り歩いて、手作りの衣類を披露したのだ。平日は学校と仕事だが、週末は好きなようにしたい! そんな独特な服を着た人々が、青木正一さんの目に留まった。彼はすでにロンドンのサブカルチャーを撮影してきており、自分の故郷に同じようなブームが起こっているのを見たのだ。
ファッションに敏感な若者が、欧米と日本の
ファッションを合わせている。それも青木さんが今まで
見たことのない方法で。青木さんはその新たに出現した
サブカルチャーを記録したかった。
この動きはソーシャルメディア時代以前のことだったので、他の人々のファッションを見る唯一の方法は、日曜日に出かけることだった。しかし、スナップ雑誌『FRUiTS』(元々は『FRESH FRUiTS』) の刊行によって、東京の中にいる人も、外にいる人も、現在「Harajuku kids (原宿キッズ) 」と呼ばれている人たちから、インスピレーションを得ることができるようになった。原宿キッズは、東京のストリートファッション・シーンに世界中の関心を向けさせ、多くの人が今日の日本ストリートファッションに興味を持つようになった。
最近では、スナップに写ろうと多くの人が東京にやって来る。しかし、スナップ雑誌『FRUiTS』は、月刊発行を終了しており、同じような伝説的雑誌の意味合いは持たない。『Tokyo Fashion』などのオンライン出版社にバトンは渡されたのだ。
『The COMM』もストリートスナップの系譜に名を連ねたいと思っている。そこで、サイトに新しくストリートスナップのセクションを設けることを発表したい。多くのスナップは原宿で撮ったものだが、東京各地からの多様なファッションを読者のみなさんにお見せしようと、全力で取り組んだ。できるだけ多くの独創的なファッションを撮りたい――『FRUiTS』の精神にぴったりだ!