太田 晴也
成功したインスタグラマーは、それがモデル、メイク、出版に関わる仕事のいずれであってもトレードマークを持っている。そこであなたに問いかけたい。もし、あなたが一通りのことを少しずつ試したとしたら、その全てをバズらせることができるだろうか? それをこなす人物が、太田晴也さんだ。彼はInstagramやTikTok向けにさまざまなコンテンツを制作し、そして独自のe-boyの「ブランド化」に成功した。e-boyの特徴は、輪郭のはっきりした顎、センターで分けた髪、「セクシー」なポーズだが、太田晴也さんは違う。彼のInstagramのホーム画面は彼のプロフェッショナルな作品のポートフォリオであり、TikTok動画は、より実験的でレトロを基調とした——例えば、VHSエフェクト、古いカメラ、80年代の音楽を使用——芸術的なビデオ編集をメインとしている。
太田さんは、ネオンカラーのふんわりヘアー、明るい色のポロシャツと黒のだぶだぶのトラックスーツを組み合わせた個性的なスタイルで知られている。彼はモデル、DJ、メイクアップアーティスト、そしておしゃれなサロンLess Is More (レスイズモア) のヘアースタイリストとして働いている。彼のInstagramをチェックすれば、Salvador Dali (サルバドール・ダリ) の絵画『記憶の固執』にインスパイアされた、きらきらと輝くアイメイクのような印象的な作品を見つけられるだろう。抽象芸術を連想させる彼の作品は、斬新で称賛すべき若者文化と言える。彼は、『Vogue』や『NuméroTokyo (ヌメロ・トウキョウ) 』で特集されたが、活躍はそれだけにとどまらない。太田晴也さんが、同業者やファッション業界で名の通っているような人から、エネルギッシュな人だと見られているのも当然のことだろう。
Image courtesy of Seiya Ohta via Twitter.
太田さんはクリエイティブディレクションにも挑戦している。太田晴也さんによるキュレーションプロジェクトNUTSACKは、防護服とスプレーペイントのコラージュ作品を並べた、まるでプロが撮影したような最新ファッションのポートフォリオを掲載している。防護服はCOVID-19パンデミックを皮肉っている。
とてもクリエイティブな東京ボーイ、太田さんは日本の若者の声の代弁者だ。「抽象的でぐちゃぐちゃな物でもアートと言える時代。よくTwitterなどで発信をしているけれど、『あえて』を逃げ道に、誰でもできる表現のみでアートと題する事はあまり好きではない。クレイジーで勢いのある作品でも、ディテールにこだわったものを今後作っていきたい。 」端的に言えば、太田晴也さんはルールに従う人ではない——ルールを守る人だ。ファッション、メイク、アート、音楽など多方面でその才能を発揮している。彼は今まさに注目すべき人物だ。なぜなら、彼のアート作品は文化を追い求め、社会的主張の一部となっているからだ。
Written by Kay, translated by Michiyo.
Featured image courtesy of Drop Tokyo.