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増田セバスチャン:「カワイイ」の第一人者

6%DOKIDOKIやきゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPONPON」のミュージックビデオを手がけた天才アートディレクターと言えば、改めて紹介するまでもないだろう。増田セバスチャンである。増田さんは原宿からスタートし、世界中を旅して「カワイイ」カルチャーを発信してきた。しかし、1995年に6%DOKIDOKIがオープンして以来、原宿は大きく進化している。増田さんの無限の創造性と芸術性が世界的に反響を呼んでいる中、彼と6%DOKIDOKIは「カワイイ」カルチャーと原宿の未来にどのような役割を果たしていくのだろうか?

 

6%DOKIDOKIを立ち上げたきっかけを教えてください。

原宿で活動をしようと思って始めたのが、6%ドキドキだったんですね。6%ドキドキは最初お店というよりは、自分の作品や自分のアートワークとか、あと友達のアートワークを一緒にこう展示して、販売したりみたいな感じでやれたらいいなーって思ったんですけど。全然最初は作ってもお店を立ち上げても、お客さんが来なくて。だんだんその時に、古着やあとはビンテージトーイとかそういう物を売って、最初は色々な物を自分の好きな物を並べて、お店をやっていました。

ショップガール・ボーイといえば、6%DOKIDOKIの代名詞ですね。そのきっかけを教えてください。

ショップガール・ショップボーイというのは、2005年からそういった物をスタートしたんですけれども、一番最初にこのきっかけになったのは、ロンドンにあったヴィヴァっていうファッションのショップがあったと思うんですけれど。ヴィヴァのショップの店員はフォトグラファーがいたり、後モデルがいたり、色々な人がいたので、そういった人からショップガールとしてヴィヴァで働いていたので、 ドキドキもそういったアーティストやクリエイターみたいな存在がショップガール・ショップボーイとして働いてもらえたらいいなと思って始めましたね。日本ではそういった物はなかなか無かったので、日本では初めてそういった形で活動したと思います。

 

Image courtesy of Tokyo Fashion.

多くの人が、デコラを普及させたのは、「6%DOKIDOKI」だと言っています。増田さんのブランドは、このファッションジャンルの創造にどのような役割を果たしたと思いますか?

当時、1990年代に6%ドキドキっていうのは裏原宿っていうエリアでオープンしたので、そこの若いヤングジェネレーションが皆ドキドキに集まってきて。当時はファッションのお店では無かったんですけれども、色々なそういったプラスティックトーイだとか色々なおもちゃとか、あとはインテリアだとか、そういった物を段々こうファッションに取り入れるようになっていった。篠原ともえちゃんというタレントが当時いて、そのタレントがそういった物を更に過剰に着けてテレビに出たので、日本中の人たちがテレビのともえちゃんのファッションを見てだんだん影響されていったっていうのは大きいと思います。

増田セバスチャンと6%DOKIDOKIを抜きにして、「カワイイ」ファッションを語ることはできません。あなたのブランドがこれほどまでに海外の人々を魅了しているのはなぜだと思いますか?

これは自分が分析すると、やっぱり一番思うのは正解を作らなかった事、答えを作らなかった事というのが一番大きい。これはどういうことかというと、例えばコスプレだと、そういったキャラクターっていう正解がある。ロリータファッションだと、そういう正解のファッションがある。でこの「カワイイ」とかデコラファッションは正解がないと。自分が好きな物をどんどん身に着けたり、それをどんどん好きになっていったり、それが正解で、一万人がいたら一万通りの正解があるという物をコンセプトとして打ち出したのが、多分世界中に通じているコンセプトとなって広がって行った。

もう一つ、カラフル。カラフルな物を身に着けるっていうのは、その世界中どこでもではなくて、日本だけのオリジナルのもの。ロンドンとかヨーロッパに行くと、ずっとあの茶色の世界で、町も石のそういった灰色のそういった建物ばっかりが並んでいる。なかなか世界にはカラフルな物が無いから、これは日本独特のカルチャーかなとは思っています。

ソーシャルメディアが「カワイイ」カルチャーに与える影響を教えてください?

ソーシャルメディアがそのSNSとかやっぱりYouTubeが出る前は、自分とドキドキのショップガールが現地、世界に色々な所に行ってファッションショーをコーディネイトしたり、一緒にワークショップして一緒にファッションショーを作ったり、そういった物で世界中に回っていったんだけれども。やっぱりYouTubeでそういった動画がムーヴィーが配信されると、自分が行かなくても色々なところでそれを見ることができた。その人として、きゃりーぱみゅぱみゅのポンポンポンっていうのはすごく大きな役割を果たした。そのことに対して、ソーシャルメディアが人と人のファッションについて語り合う場所ができて、それがこうどんどん広がっていったと思うので。

これまでは原宿のファッションが好きな人たちと繋がるためにワールドツアーを行っていましたが、コロナ禍の影響でオンラインイベントに移行されましたね。なぜ世界のオーディエンスと繋がることが重要だとお考えですか?

「カワイイ」っていうのはもっとフィロソフィーなものだと思って考えているので、このコロナの時期でみんなファッションをしたりお洒落したりできない中で、もっとフィロソフィーとして考える時間がある中で、もっと考えることが必要だと思っていて。それで今は「カワイイ」のをどうやってもっともっと世界に広めていくかというのを今すごく色々な国と会議しているんですね。もっともっとこの「カワイイ」のフィロソフィーがあれば、もっともっとハッピーになれるし、もっともっとピースフルになれる。

 

Image courtesy of Sebastian Masuda.

6%DOKIDOKIの旗艦店を立ち上げてから、原宿、特に裏原はどのように進化していると思いますか?

1998年にホコテンがなくなってからは、原宿っていう場所は場所ではなくて、コンセプトになって、世界中に原宿ができていったというふうに考えています。原宿っていう場所はどんどんオリンピックに向かって、観光地化していって、でもオリンピックはなくなったんだけれども。早めに原宿っていう町が自分がすごく予想していたのは、原宿っていうのはオリンピックまでにピークになってその後に下がっていく。その時にレントとかそういったものが安くなるから、その時に若いヤングジェネレーションが来てそのお店を借りたり、後は裏通りのストリートの場所で自分だけの小さなお店を開いたりっというムーブメントが来ると思っていた。だから今はそれがコロナで早まっているので、今がチャンスかもしれないと思うので。だからヤングジェネレーションのクリエーターはチャレンジしてほしい。

原宿のストリートファッションとの出会いを教えてください。

自分が10代の頃に、千葉県の松戸って言う所に出身で住んでいました。そこから原宿って30分から40分ぐらいで来れるので、10代の頃は地元の友達とはあまり仲が良くなかったので原宿に来ていた。原宿に来ると皆同じような考え方の人や趣味が近い人がいたので、そういう人と集まって遊んでいた。その頃は歩行者天国ホコテンがあって、そこでは竹の子族とか、バンドブームがあって、ゲリラライブをやっているバンドがいたり。その頃に原宿のストリートファッションに出会った、って言うのが思い出です。

今日の原宿ストリートファッションについて、どう思いますか?

自分の個性、インディヴィジュアルなものがあまり出ていなくて、オリジナリティーが少ない。例えば、最近は特にヒップホップとか、そういったカルチャーに影響されてるのが多いので、オリジナリティーをもっと。影響されるのは若い頃に色々なものに影響されるのはいいと思うんだけれど、そこからオリジナルなクリエイティヴにしていって欲しいと思うんだけれど。今の原宿は前よりそのオリジナリティーが少ないかなと感じています。

昔はそういう洋服が売っていなかったから、ちょっとリメイクしたり、自分で考えたり、やったんだけれども、今はインターネットで見たまんまを着たり、工夫が、クリエイティヴがちょっと足りないな、っていうふうに感じます。

「カワイイ」運動から学べることとは?

表面的な事をどうしても最初は入ると思うのね。こういう「カワイイ」ファッションをしたいとか、こういうメイクをしたいとか、そういうふうに入るの。それでオッケー。でもそれを好きになった自分はどういう気持ちなんだろうかっていうのを考えると、あ、誰々に対しての反抗だったりリベリオンだったり、誰々に対しての、やっぱり誰かをハッピーにしたいっていう気持ちだったり。自分はこういったカラフルなものが好きだという自分を嘘をつくことができないことだったり。色々なことがわかると思うの。だから、「カワイイ」ってことは最初はスペシフィックなところから入るのでいいんだけれど、そっからだんだん自分の中を考えてみると、色々なことが分かる。そのことがすごく重要だと思っていて、自分が次の世代にバトンタッチする時には、そこを変えないでそのまま続けていって欲しい。ファッションをどんどん楽しんで欲しいし、色々なファッションショーをやったり、色々なコミュニティーを作ったり、色々なものをやっても全然構わないんだけれど、一番スピリット、一番奥の部分は守り続けて欲しい。それが一番「カワイイ」の一番根幹になることだと思っています。

 

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Introduction and questions by Vania, introduction translated by Anna.
Featured image courtesy of My Modern Met.

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