The COMM

Santiago Artemis

アルゼンチンのデザイナー、Santiago Artemis (サンティアゴ・アルテミス) のことを語るとき、“大胆で自信に満ちた”という言葉がまず思い浮かぶ。

ある暑い昼下がりの渋谷、駆け足で東京を旅行する彼に、短時間でも会ってスナップ写真を撮ることができたのは運がよかった。彼がデザイナーだということはすぐに分かる――スタイリングに非の打ち所がないどころか、服がぴったりと合っているのだ。「かなり自然だったと思っている」というのが、どのようにファッションデザインの世界に入ったのか尋ねたときの答えだ。「のっけからファッションや衣服、女の子、セーラームーンやジェム (※) といった意志の強い女性に、ハマってたんだ」。

※1985年から1988年まで放送されたアメリカのアニメシリーズ『Jem and the Holograms (ジェム・アンド・ザ・ホログラムス) 』の主人公

「恐れを知らない、自信に満ちて、埋没したくない。それがアルテミスガール。」

彼の言葉は、同じような“意志の強い女性”を表現するデザインと、モデルにはっきりと反映されている――いわゆるアルテミスガールだ。でもアルテミスガールって? 彼によるとそれは1つの共通点がある様々な女性――「普通の服は着たくない、他のみんなと同じように見えたくない、特別な何かが欲しい、何か特別な、溌剌として魅力的な特別さ。恐れを知らない、自信に満ちて、埋没したくない。それがアルテミスガール。」サンティアゴさん自身も、周囲に溶け込んだりはしない。アルテミスガールのあり方をファッションに取り入れたい人へのアドバイスは、「大胆に行動して、違いを出して、内なる声に従って、何よりもファッションに関する知識に浸かること」。

彼のファッションは品がよく、ぴったりハマっている――ストリートファッションよりもクラシックだ。彼のスタイルとデザインした服、両方がランウェイのために準備されたように見える。ストリートでの彼のファッションと、ランウェイのためのデザインの間に違いはあるのだろうか?「あると思うけど、自分は世間が期待する着こなしに従わないので、(ファッションに関しては) 自分の世界に生きている 。でも、ストリートファッションよりも、自分の考えから生まれたスタイルを着て、ストリートで披露することのほうがむしろ、自分の感情を呼び起こす」。

いいと思う! しかし、彼が伝えたいメッセージは、自分の好きなことをするのが大切だということ。彼のInstagramには、そのことがはっきり示されていて、それに基づく美学が強い。「ポーズを取る方法とコーディネートの魅力を損なわないように編集する方法を学び、そして見た目が魅力的である限り何でもしていいということを心の奥で理解しておくこと」――これであなたのInstagramゲームもうまくいく。なるほど。

今号を通して見てきているのは、ランウェイのコンセプトと、なぜそれを誰もが求めるのか、ということだ。ショー、衣類、あるいはモデルのためだろうか?デザイナーであるサンティアゴさんには幅広い経験がある――ゼロからコレクションを作り出し、ランウェイで披露するまで。そのプロセスが高い想像力を要することは当然だが、それだけではない。彼の視点からすると、最大の難関は、ショーをうまくまとめることだ。「とてもストレスが多いし、多大なエネルギーとたくさんのお金を必要とする。自分でスポンサーをするか、もしくは投資家を見つけるけど、本当に難しくてストレスフル! 」。たとえストレスが多くても、彼は目標を高く設定している。東京でコレクションを展示する計画があるのだ。その成功を祈りたい!

しかしここで終わりにはできない。『The COMM』では、ワードローブをさらに洗練する方法をいつも探しているので、サンティアゴさんにこれ聞かずに、特集を締めくくるわけにはいかない――マストハブ・アイテム上位5位。黒のロングウールコート、ロマンチックなブラウス、素敵なハット、膝上まであるブーツ、それから肩パット付きのブレザー!

Post a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *