Pixielocksは、SNSを活用してメンタルヘルスのマイナスイメージをはねのける
Jillian (ジリアン) ことPixielocks (ピクシーロックス) は、YouTubeで活躍中の超カラフルなインフルエンサーだ。彼女がおりなすデザインとスタイルは、とにかくカラフル。しかも、このインフルエンサーは虹とキラキラだけではない。人々が安心できる空間づくりとメンタルヘルスの問題にまつわるネガティブなイメージの一掃をめざし、自らのプラットフォームからメンタルヘルスの不調について語る。オンライン、オフラインどちらにおいてもPixielocksのミッションはファッションやコミュニティについての話題と、後ろめたさを感じる必要なく彼女らしくあることの発信だ。
自己紹介をお願いします。
初めまして! わたしの名前はJillian Vessey (ジリアン・ベッシ―) 。みんなからPixie (ピクシー) と呼ばれています。モラルやサステナビリティがキーポイントの超ハッピーな 『カワイイ』ファッションを愛する、元ファッションブロガー、現デザイナーです。
ロリータファッションから始まって、今やあなたのスタイルは、虹の使者と言ってもいいでしょう。 ファッションに関するこれまでの道筋を聞かせてください。
初めてYouTubeに動画をアップしたのは、たった16歳の時でした。当時、わたしはロリータファッションにとても興味があって、カワイイものに囲まれて生きる人たち (私も含めて) のコミュニティの一員として楽しんでいました。数年後、もっと自由に変わったコーデを冒険できるリラックスした感じの『カワイイ』スタイルを自分で新たに作ることにしました。それまでわたしのデザインはJファッションのどんなスタイルにも当てはまらなかったので、自分のスタイルとしてリニューアルできたことをとても嬉しく思います。
ファッションデザインも学んでいらっしゃいますが、デザインには以前から情熱をお持ちでしたか?
ええ。ファッションデザインには昔からずっと、とても興味がありました。縫い物は9歳の時、初めて使ったミシンで小っちゃい枕やシンプルなドレスを作ったのが始まりです。そして12歳でコスプレの世界に目覚め、その年、アニメのイベントに『鏡音リン』のコスプレで初めて参加したのです。ダクトテープをベタベタ貼ってめちゃくちゃ急いで作ったコスチュームでしたけどね。それ以来、洋服作りが大好きなんです。思うに、昔そうしてイベントのたびに縫い物をするようになったのはコスプレがきっかけでしたが、そうした経験から手にした自信が、今のわたしのアニメチックなファッションやテクニカラーのファッションデザインにつながっているような気がします。
ご出身のカナダの小さい州では、同じ趣味のお仲間と出会うことはおそらく困難だったのでは。
わたしの住む町がホントに小さいということが、かえって良かったのだと思います、町中の人がわたしを知っているし、わたしの衣装を見て驚く人なんていないんですから! でも、わたしと同じ好みの人を見つけられたことは、もちろん大きな励みになりましたよ。Tumblrはわたしが初めて『カワイイ』集団にハマったプラットフォームでした。また、それを足がかりに自分の中にある、奇抜なファッションをやってみたいという願望が大きくなったのは確かです。
あなたはご自身のYouTubeチャンネルから、素晴らしいコミュニティを作り上げましたね。オンライン・コミュニティの一部であることの醍醐味は何ですか?
本当にステキな人たちとの出会いに恵まれて、わたしはとんでもなくラッキーでした。正直な話、わたしがどれほどこのコミュニティを愛しているかは、言葉で言い表せないほどです。わたしは最近少しシャイになってきて、複数のプラットフォームを使いこなすのに苦労したりするのでFacebookやTikTokで扱われているJファッションの楽しさとの距離を感じることもあるんですが、このコミュニティでカラフル好きな仲間と接すると、すっかり満ち足りた気持ちになれます!
ご自身のメンタルヘルスに関する動画をYouTubeにたくさん公開しておられます。なぜ、動画の公開が重要だとお考えですか?
メンタルヘルス活動はわたしにとって極めて重要です。わたしの人生はメンタルヘルス面で苦闘の連続でしたが、長い長い混乱をくぐり抜けたあとに慰めを感じたのは、わたしと同じように苦しむ人に初めて会った時でした。慢性の心の病といっても日常の一部にすぎないので、それを隠そうと本来の自分に仮面をつけて定型発達者のふりをしつづけることに疲れてしまったのです。
自分のことだけでなく、メンタルヘルスの問題をめぐる世間の状況を改善するための努力も続けています。自閉症、双極性障害、解離性同一性障害、複雑性外傷後ストレス障害を持つたくさんの人たちと友達になりましたが、みんなが生きた経験をわたしに共有してくれた結果、わたしの心が開かれていくという体験をしました。そこで、誰もがこんなふうに自分のまわりの出来事についてほんの少しでも知識を得られたらいいなと思ったからです。この先いつ自分と異なった脳をもつ人と出くわすか、誰にも分からないのですから。
あなたのメンタルヘルスと私生活をそこまで世間にオープンにされたのは、場合によってはマイナス要素になったのではないでしょうか。
ええ…まあ。この障害をカミングアウトするまで、世の中には心の病に関するマイナスのイメージがあるのは知っていましたが、これほどひどいとは思いませんでした。わたしの今の主な症状は境界性パーソナリティー障害と診断されましたが、これは解離性同一性障害や統合失調症と並んで最悪な心の病の1つであると考える人もいます。たまにくる、この障害のあるわたしを誹謗・中傷するコメントは手厳しいものですが、こうして病名をオープンにすることはわたしにとって、バッシングされるリスクを上回る優先項目なのです。なぜかというと、たとえば大好きなクリエイティブや有名人がわたしと同じ障害を持つと知れば、ああここにもいるんだ、とホッとできるからです。逆に、わたしのチャンネルで動画を見てくれた人にも、わたしと同じくホッとしてほしいです。
ご自身のためのカラフルなインターネットのサイトとコミュニティを立ち上げただけでなく、とてもカラフルな部屋まで作られましたね! 制作プロセスについて話していただけますか?
借りた部屋なので、塗り替えてもよいことを知った時はその場で宙返りしたくなりました! パステルカラーの虹を描きたかったので、お店へ行って塗り見本を見せてもらって、わたしのスケッチブック (それと、結局『ザ・シムズ』も参考に。笑) で壁紙パターンのレイアウトを決めたのです。ストライプの箇所には大勢でテープを貼ってくれたりして、たくさんの友人や家族連れが手伝ってくれました! 新しい虹ハウスへ引っ越す日が楽しみな一方で、今の部屋の虹を撤去する様子をカメラに収めなければなりません。つらいですが、達成感はあります。満足と寂しさの同居。
最もくつろいだ気分になれるのはオンライン、オフラインのどちらですか?
とても面白い質問ね。わたしとしては現実の生活の方がリラックスできると言うべきなんでしょうけど、ネット上だけの知人と実際の友達になる時、たとえばネット友達とニューヨークでのミートアップみたいなイベントを通じて初めて会うと、リアルな友人に変わるでしょ。一番特別な気分になれるのはそんな瞬間ですね。
最後にひとことお願いします。
読んでくださってどうもありがとう。お買い物は控えめに、それから、リサイクルショップでのお買い物をぜひ!!! おすすめします♡
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Introduction and questions by Choom, translated by Tomoko.
Images courtesy of Pixielocks.