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ファッション、『FRUiTS』、ホンモノを追求するFerro Ashleyさんをご紹介

Ferro Ashley (フェロ・アシュリー) さんは、よくいる典型的ファッショニスタではない。ソーシャルメディア嫌いのようではあるが、常にカメラスタンバイOK、『FRUiTS (フルーツ)』 のストリートスナップみたいにクールだ。そんなFerroさんに 『FRUiTS』 のファッション、SNS、音楽についてお話を伺った。

 

 

自己紹介をお願いします。

Ferroといいます! 28歳です。スペイン在住で、90年代から2000年代のJファッションをリサーチして着こなすのが大好きです。

Ferroさんは『ita.toys』というご自身のホームページをお持ちですね。そのコンセプトと理念を教えていただけますか?

 

 

『ita.toys』 は、ワードローブを記録して将来読み返せる日記のようなつもりで始めました。以前していたSNSにつきものの通知やフォロワー数といったプレッシャーなしに自由に創造力を駆使して作ったコンテンツを発表できるような、自分のためのネット空間が少しだけ欲しかったのです。

最近はずっと、『ita.toys』 で主に自分のスタイル、ワードローブ、音楽、興味あるものを記録に残していますが、ファッション関連のさまざまなヒントとしても見てもらいたいと思っています。そのため、今このサイト内の雑誌コレクションの記事をスキャンまたはアーカイブしたり、自分でリサーチした結果をファッション関連のトピックでシェアするためにブログを立ち上げたり、記事を翻訳したりしています。

全くSNSをされないようですが、その選択には何かわけがあるのでしょうか?

ええ。SNSはわたしにとってペースが速すぎます。以前はひんぱんに利用していたのですが、常に更新しなければならないプレッシャーや、スマホ依存になったような毎日にうんざりしてしまって。それで一旦全部やめて、代わりに 『ita.toys』 を立ち上げました。

 

 

たとえSNSを利用しなくなっても、『ita.toys』 からあなたのセンスに惹かれる多くの人たちへ何かを伝え、つながりたいと思っていらっしゃいますか?

わたしは自分のホームページを通じて人とつながるのが大好きですが、それが第一目標というわけではありません。このサイトはこれまで、ほぼ自分が楽しむために作ってきたのですが今後はむしろ、ファッションのヒントにしてもらえるようにしたいと思っています。ですから『ita.toys』 でみんなとつながるというコンセプトが今後さらに重要になってくるでしょう。

あなたのホームページの ”ダイアリー” で着こなしをアップされていますが、ストリートスナップか雑誌からスキャンした画像のように見えます。そうした方法で記録する理由は?

Jファッションの世界にハマるずっと前から、写真撮影とデザインに興味がありました。わたしはファッションに魅せられているだけでなく、雑誌も、ストリートスナップや編集も好きなので、自分のコーディネートもスナップ写真のように記録してみたくなったのです。

でもそのうちに雑誌にあるような写真を撮るだけでなく、雑誌から実際にスキャンしたような写真を作ることを考え始めました。わたしにとってフェイクスキャンとは、お気に入りの服を着た自分がタイムスリップして昔の雑誌のページにいるような錯覚を味わえるものです。同時に、自分が最もインスパイアされるJファッションと紙メディアの時代への敬意の表れでもあります。

日本のストリートファッションとの出会いは?

高校時代、親友がネットで見つけた 『FRUiTS (フルーツ)』 誌のスキャン画像を見せてくれたのです。最高でした! そして彼女の家で一緒に 『FRUiTS』 のスキャン画像を見まくっては近くの古着屋まで歩いて行って古着や素材を買い、 『FRUiTS』 に出てくるような服にリメイクしていました。思い返せば微笑ましくて楽しい時間でしたね。

あなたのファッションに最もインスピレーションを与えるものは何ですか?

もちろん、わたしの雑誌のコレクションがほとんどです! 特にこれといったコーディネートが浮かばない時のヒントにするのが90年代の 『CUTiE』、『FRUiTS』、『Milk Bar』 です。

 

あなたの見事な洋服の数々をどこから入手するのか教えてください!

もっぱら日本の 『メルカリ』、『ヤフオク!』 『フリル』 などのフリマアプリや『ClosetChild (クローゼットチャイルド)』 から購入しています。

あなたのコレクションの中で特にわたしが気に入っているのは、”Juicy Strawberries (1985)” です。『FRUiTS』 のバックナンバーで見つけたような服ですよね! そうした絶妙なスタイルをあみ出す秘訣は何でしょうか?

ありがとうございます! 『FRUiTS』 がとりわけ参考になると思いますが、『FRUiTS』系のコーディネートは、実際にどれだけ考えて組み合わせているのかということまでは分かってもらえません。一見「その辺のものを寄せ集めた」ようなコーデに見えたとしても、配色のバランス、シルエット、生地の質感と模様の組み合わせは計算し尽くされているんですよ。微妙なコントラストでバランスを保っているのです。例えば素朴さと優雅さ、ファッショナブルな感じと野暮ったさ、若々しさと落ち着いた感じの組み合わせ。そんな風にスタイルを作っています。

昔の人気雑誌、デコ電…あなたのスタイルには2000年代初頭のノスタルジーを感じます。ノスタルジーはあなたにとってどのような役割を果たしますか?

20代で初めてJファッションの世界にハマったので、わたしが昔の雑誌のスキャンを見て感じるノスタルジーは、当時のJファッション系の人が実際に持っていたものとはかなり違うと思います。しかし、だからといって私の興味あるものがノスタルジーとほとんど無関係ということではありません。

わたしが 『FRUiTS』 のようなストリートスナップ雑誌を好きな理由の1つは、自分の服装を見てほしいと思ったら実際に着て街に出て行きたくなる感覚でした。服なので着るのは当たり前なのですが。でも、SNSがこれほど普及した今では服装の見せ方も変わってきたはずです。オンラインでドレスアップすることで同じ効果が得られるなら、わざわざ街に繰り出す必要はないのです。

 

SNSとインターネットによってわたしたちは、ストリートファッションやファッション全般にわたるホンモノを見る感覚の発達が妨げられたとお感じですか?

わたしはファッションに「ホンモノ」と「ニセモノ」があるとはあまり思いません。常にファッションの基本は、他人からのヒントや自分にしっくりくるオシャレの試行錯誤だと考えています。でも、SNSやネットによってファッションがこれまでになく身近な存在になった事実は両刃の剣なのです。つまり、あらゆる種類のスタイルやファッションのヒントにアクセスできても、膨大な情報量の中で自分が本当は何をどう着たいのかが見えなくなる。外から見ると、その迷いが「ニセモノ」だと解釈されるのかも知れません。

あなたのホームページの最新カテゴリーは、5種類の曲を聴くことができる “itacore (イタコア)” ですね。あなたの音楽と、それが何の影響を受けたものなのか簡潔に説明していただけますか?

Itacoreは 『キュート』 が35%、『グロテスク』 25%、『ロボット』 10%、『ヒステリー』 30%です!

 

 

Website
Introduction and questions by Stefanie, translated by Tomoko.
All images courtesy of Ferro Ashley.

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