「最もピンクなブラウンガール」Marina
Marina (マリナ) さんが、アニメや地元のロリータコンベンションで日本のストリートファッションと出会ってからのことは語るまでもないので、現在まで話を進めよう。インターネット上の彼女は、あなたが今まで見た中で 「最もピンクなブラウンガール 」に違いない! 彼女は、コミュニティーの中で不快に感じたやりとりについて、もっと多くの人に認識してもらいたいという思いから、『Frill Talk (フリルトーク) 』というポッドキャストを始めた。しかし、『Frill Talk』はただのポッドキャストではない。原宿ファッションのすべてを網羅しながら、黒人の声を大きく取り上げた黒人が自由に表現できる安全な空間なのだ。Marinaさんに表現とその重要性についてお話を伺った。
自己紹介をお願いします。
皆さん、こんにちは。わたしのYouTubeチャンネルでは、日本語で「こんにちは、みなさーん、Marinaです!」がお決まりの挨拶です。わたしのことを知らない人のために自己紹介すると、わたしはアメリカから来たMarinaです。ラテン系の黒人なので、スペイン語のコンテンツも作っています。ロリータファッション ( 一生甘ロリ系を貫きます。笑 )、そして「カワイイ」ファッションが大好きです。アニメにハマっていて、好きな女性シンガーは初音ミクです! ソウルカラーはピンクで、自分の世界で最もピンクなブラウンガールになることを目指しています。
日本のストリートファッションとの出会いは?
最初にJファッションに触れたのは、多くの方と同様、アニメを通してです! いつも「ゴスロリ」のキャラクターが出てきていたのですが、ある日無性に気になって。それで、キャラクターたちの衣装について調べてみたら、ロリータファッションの一部だったんです! そこからさらにいろいろと調べて、2015年に思い切って初挑戦しました。ロリータファッションで地元のコンベンションに行ったら、他の黒人ロリータに会って、一緒に写真を撮ったり、褒められたりしてとても楽しかったですね!
ロリータのどのような点に最も共感しますか?
ロリータを着る意味合いは人によって様々だと思いますが、わたしにとっては自分の女性としての側面を探求し、10歳のMarinaの夢だったカップケーキのお姫様になるための手段です (笑)!
ロリータコミュニティーの第一印象はどうでしたか? 最初に参加したときと比べて、コミュニティーはどのように変化しましたか?
最初はとても緊張したし怖かったです! その理由の1つは、「黒人女性」がその場に一人しかいないことに対する恐れです。当時は白人や肌の色が明るいアジア人を見かけることが多かったのですが、わたしはニューヨーク州に住んでいたので、地元のコミュニティーではそこまで気にしていませんでした。
コミュニティーとの最初の出会いは素晴らしかったですね。オハイオ州に引っ越した今でも彼らとは友達です。ロリータコミュニティーでは昔と違い、様々な人がロリータファッションをするようになりました。黒人だけでなく、移動補助器具を必要とする人もロリータを着ていたり、慢性疾患を持つ人が、ロリータを着て自身の自閉症のような経験を語ったり。
初めの頃、日本のストリートファッションを愛する黒人に声をかけるのは大変でしたか?
イエスでもありノーでもあります。初めてロリータミーティングに参加したとき、数人の黒人ロリータがいましたが、わたしが一人で参加したのでコミュニティー全体が歓迎してくれました。公平に見ても、とても小さなコミュニティーだったんですね。ほとんどのミーティングは5~15人だったので、とても団結力があり、お互いのことをよく理解していました。グループで一緒にコンベンションに行ったこともあります。
ご自身のポッドキャスト『Frill Talk』も配信されていますね。作った動機は何ですか?
正直、Jファッションの不快な面に目を向けたコンテンツを作っている人が少ないことに憤りを感じていました。今住んでいる地域のコミュニティーで、わたしの怒りを爆発させるような 「おかしな出来事 」があったので、「カワイイ」やJファッションのコミュニティーでは語られていない問題を認識してもらうために何かできないかなと思ったんです。
わたしたちは24時間365日「カワ〜イで〜す」ではいられません。そして、残念ながらラテン系の黒人として、不快に感じる出来事を経験したり、目にしたりすることが度々あって。共感することもあるのですが、ほとんどの人は「それはたまたま起きたことだ」とか「上手く対処するべきだ」と考えているようですが、絶対おかしいと思います! そんな、内から沸き起こる怒りが『Frill Talk』を始めたきっかけです。でも、ポジティブな面では、『Okei Podcast (オケイポッドキャスト ) 』やNHKの「カワイイ」レポーター、JadedIslandがこのシリーズにインスピレーションを与えてくれました。
どんなトピックを取り扱っていますか?
正直に言うと、シリーズを通してトラウマのような負の感情を引き起こす可能性があるので注意が必要です。人種差別、肥満恐怖症、黒人排斥、そして、もちろんコミュニティーやお気に入りのブランド、支持しているブランドなどJファッションの楽しい側面についても取り上げています。「インフルエンサー」としてだけでなく、実際にコミュニティーに参加している人たちにインタビューをしているので、一般の人たちも参加しています。
なぜこのような場を作ることが重要だと思いますか?
多くのロリータコミュニティーは、白人主導で運営されています。ですから、人々が経験について率直に話すことができる場が必要なのです。世界は「フリフリのラブラブ」であふれていると思っているロリータは多く、実際その通りだと思います。しかし、一部の人にとっては常にそうであるとは限りません。白人主導の空間にいることは本質的には悪いことではありません。ただ、白人の友人たちがそうした経験がないために、相手のことを考える機会がないというだけなんです。
あなたにとっての「表現」とは何ですか?
難しい質問ですね。様々な表現方法があるので。表現とは、1つのタイプの人間を見せることではなく、わたしたちが持つ違いを大切にし、色々なタイプの世界観 (同意できないものも含め) に触れることです。そうすれば、世界は「表現」を優先する必要がなくなるのではないでしょうか?
ロリータコミュニティーで黒人の表現を改善するにはどうしたらいいと思いますか?
黒人メンバーの声に耳を傾けましょう。自分のコミュニティーが黒人にとって安全な空間であるかどうかをチェックしてみてください! わたしは、タウンホールミーティングの開催や匿名の意見箱を設置するなどの企画を提案しましたが、それならどんなコミュニティーでも活用できると思います。
5年後の『Frill Talk』はどうなっていると思いますか?
難しい質問ですね。見当もつかないです (笑)。わたしが『Frill Talk』を始めたのは、様々な感情が雪だるま式に膨らんでしまったからです。もしかしたら、『Frill Talk』は別のものに進化しているかもしれませんね。アイデアはたくさんあります。NHKの「カワイイ」レポーターが大好きだったので、いずれはそのようなことをしてみたいと思っています。NHKでなくても、もっと「カワイイ」ジャーナリズムを実現したいですね!
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Introduction and questions by Vania, translated by Michiyo.
Images courtesy of Marina.