ピンクの女王 Alison Jones、毎日がピンクの日!
人気急上昇中のAlison Jones (アリソン・ジョーンズ) さん、またの名を @kawaiiconic.aliさんの日常は、ピンクの服を毎週水曜日に着るというようなヌルいものではなく、毎日欠かさず全身びっしりピンクでキメるというもの。アラスカ州出身のAli (アリ) さんは12歳の頃から原宿ファッションを着てみたかったという。その夢を追って、とうとう日本を訪れて群馬県でハッピーエンド。だが、そこでは何があったのだろう? 期待通りのハッピーエンドだったのか? 彼女のスタイル、「カワイイ」 ファッション愛好家としての彼女、そして日本で生活する現実について、Aliさんに伺った。
自己紹介をお願いします。
こんにちは! Alison Jonesといいます。プライベートではAliまたはKawaiiconic Ali (カワイイアイコン アリ) と呼ばれています。わたしはピンク限定の「カワイイ」アイコンで、現在は英語を教えながら日本の群馬県に住んでいます。この国での最終目標は、歌手とデザイナーになることです。
日本のストリートファッションを好きになったきっかけを教えてください。
始めにネットでJファッションを知りました。ロリータファッションは多くの人にとって「カワイイ」方面へのステップですが、わたしのスタイルとは若干違うのであれこれ探してギャル系ファッションを見つけました。この解放感の方がわたしにはしっくり来たのです。ギャル系は社会への反発ですが、その方法が魅力的ですからね。
その後、あなたのスタイルはどのように進化しましたか?
ギャル系スタイルを日常生活に取り入れ始めましたが、メイクアップ中心でした。その後、両方のスタイルから学んだことを活かしてカジュアルなロリータやギャル系を普段着に用いてみましたが、わたしが実際に着たのはピンクばかりでした。大学に入学したての頃の目標はワードローブを全てピンクに揃えることでしたが、わたしにとってはそれが必須なのです。今のファッションはまったく手探り状態。あらゆるスタイルをあれこれ試すのが大好き。ただしピンクにこだわっています!
これはおそらく何回も聞かれたと思いますが、どうして全身くまなくピンクなのですか? あなたにとって、ピンクは何ですか?
わたしは双子です。母はわたしたちが子どもの時、よくこう言ったものです、「Josephine (ジョセフィーヌ、双子の姉) にはグリーン、Alisonにはピンク」 とね。それでわたしの持ち物はいつもピンクだらけ。ピンクの鉛筆、ピンクのペン、ピンクのペンケース、ピンク一色! ピンクはいわば、知らないことばかりの外界からわたしを守ってくれるシールドです。
大学のとき初めて髪をピンクに染めました。鏡を見た時、ずっとなりたかった自分にようやくなれたのです。そこに見えたのは自信でした。ピンクは自分が双子だと認識するためのもの、人としてのアイデンティティー、自分の世界を彩るためのパレットです。美しく女性らしい色であり、強さを表す色でもあります。わたし自身です。
最初に原宿を訪れた時のことを聞かせてください。
わたしが原宿へ初めて行ったのは2018年の『カケハシ・プロジェクト』に参加した時でした。日本のポップカルチャー業界で働きたい外国人のための、政府主催プログラムです。竹下通りのゲートをくぐって眼前に広がる世界を見たとたん、安らぎを感じました。あたりは砂糖のような匂いが立ちこめていて、皆それぞれ思い思いのファッションを楽しみながら、全てが自由を謳歌していました。「カワイイ」ファッションの洋服やシューズを眺めるうち、わたしの中でスイッチが入りました。髪をピンクに染めた時から数えて2回目の「これだ!」という瞬間でした。
「カワイイ」 ファッション発祥の地で実際にそれを体験することは、あなたのような 「カワイイ」 ファッション愛好家にとってどのような感じですか?
全身ピンク一色で原宿へ行き、自分流のオシャレを楽しむ人々に会えるのは、ワクワクします。原宿は夢に命を吹き込んでくれます。通りを歩き回っていると、自分が 「カワイイ」 ファッション史の1ページになれたようで本当に、本当に光栄です! 原宿を歩くことは、誰も想像すらできない、とてつもなく偉大なものの一部を自分が担っているようで、実に素晴らしいです。
フルタイムで英語の先生をしながら、歌ったりオンラインでコンテンツを発信したりするピンクの女王もされていますね。両者のバランスをどのように保っていらっしゃいますか?
正直に言って、英語を教えることは極めて苦しいものです。わたしは日本の地方 (群馬県) に住んでいます。そこの学校で初めの一か月、とても辛い思いをしました。ある先生が、わたしのSNSアカウントを見つけ、タトゥーをしていることを知り、それについてわたしの同僚と陰口をたたき、面と向かってわたしに暴言を浴びせたのです。その後3週間誰も「おはよう」すら言ってくれませんでした。この国では、圧倒的に健康な心の持ち主でなければとてもやって行けません。誰とも口をきかないまま何時間も机の前に座る日々でしたが、わたしはそれでも運が良かった。このいじめを自分の母にすら打ち明けられない中、SNSのフォロワーの人たちが我慢強く支えてくれたからです。彼らはこの話を知っています。わたしは史上最強のフォロワーたちに恵まれて幸せです。
英語の先生とピンクの女王、両方のバランスを取るのがまた難しい。仕事帰りはたいてい深く落ち込んでいますが、それでもピンクの部屋に帰ったとたん、明るい気分になれるんです。最終的には、いいアイデアが浮かんでエキサイティングな新コンテンツをお届けしたいと思っています。もうすぐコロナウイルスも (うまくいけば) 収束しそうですしね。
日本へ行く計画を立てている 「カワイイ」 系ストリートファッション愛好家たちへのアドバイスをお願いします。
日本に来たいと思ったら、どうかぜひ! 来てください。原宿の通りを歩いて、新宿のイルミネーションを眺めて、それから、できたら東京以外の土地へも行ってみて! 楽しんでください。あと、とにかくゴミ袋だけは常に持っていて! ハンカチもね。
日本に住みたいと考えているのならまず、日本の社会について十分調べてください。また、ここに来る前に不屈のメンタルになっておく必要があります。オンラインの日本文化はあなたを助けてくれたかもしれませんが、ここに住むのなら、日本人のあたたかい歓迎は期待できないからです。この国の人たちと折り合いをつけながら生活をして、日本人化してしまってはダメです (これ、通じるといいのですが)。わたしは田舎に住んでいるので日本人社会の冷たく手厳しい本質をふまえた上で言わせてもらうと、自分の本心はいつも隠していた方がいいと思います。ですが、もし都市部だったら息の詰まるような感じはずっと軽いでしょう。
日本は数多くの栄枯盛衰を経てきた美しい国です。わたしはここ群馬県での契約終了後は東京か、その近辺に住む予定ですが、これまでの経験のおかげで日本に住む際の心構えについて短期間で学ぶことができました。ここに至るまでの道のりは容易ではありませんでしたがまだ終わっていません。わたしの旅は始まったばかりですが、アラスカの小さな町で日本の曲を歌っていた当時12歳だった私が、誇りと充足感を味わえる日を心待ちにしています!
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Introduction and questions by Vania, translated by Tomoko.
Images courtesy of @kawaiiconic.ali.