Vol. 4 第4号

Met Gala (メットガラ)、SuperBowl (スーパーボウル)、Cannes Film Festival (カンヌ国際映画祭) など、毎年誰もが楽しみにしているさまざまなイベントがある。パンデミックの影響でこれらのイベントの参加方法が180度変わってしまったとはいえ、やめるわけにはいかない。多くのイベントがバーチャルあるいは対面とバーチャルの組み合わせになったが日本のストリートファッションのコミュニティーはいままでと何ら変わりはない。『The COMM』 は、開催日が要チェックな今年のコミュニティー・イベントについて整理しリストアップした。   Image

イベントというのは、人と人とを繋げてくれるもので、日本のストリートファッションのコミュニティにおいては欠かせない。パンデミックが発生して以来、世界中でイベントが中止されているが、サンフランシスコも例外ではない。ファッション好きが集う熱狂的なチームが、イベントを開催するならもうオンラインしかないだろうと考えて誕生したのが「Bay Area Kei (ベー・アリア・ケー) 」だ。人に会いにくくなった時代におけるコミュニティの重要性について、チームのメンバーに聞いてみよう。   Bay Area Keiについて教えてください。 私たちは、日本のストリートファッション愛好家のグループで、サンフランシスコ・ベイエリアの地域コミュニティをまとめるために、オンラインイベントを開催しています。もっと大きくて世界規模な、日本のストリートファッションのコミュニティにも参加していますよ。 新型コロナウイルスのせいで、長年かけて築き上げてきたコミュニティ意識が失われることが怖かったです。サンフランシスコ・ベイエリアでは、小規模イベントはほぼ毎週、大規模イベントは年に数回開催されていました。顔を合わせての交流に代わるものはありませんが、時間を確保してしっかり計画を練り、オンラインでコンテンツを提供することで、中止になったイベントの穴埋めができると考えました。 Bay Area Keiを動かすチームについても教えてください。 立ち上げメンバーは、HalleyとObsixwi、Liliの3人です。私たちはすでにTwitchでのライブストリーミングの経験がありましたし、ありがたいことにJ-Fashion On

ズーム! いやいや、SF的な効果音じゃなくてだね。コロナの発生により、誰しもが現状を受け入れて前に進む術を必要としていた。そこでビデオチャットツール、Zoomの登場である。Zoomは社長やヘッジファンドマネージャーたちのためだけのツールではない。「アナと雪の女王」をテーマにしたパーティーやJackie Weaver (ジャッキー・ウィーバー) が司会を務める教区議会での論争、そしてロックダウン中に作られたミュージックビデオなどにも使われている。私たちにとって「会う」ことはもはや「Zoomする」なのだ。     Model: @choom.online Photographer: @choom.online Written by Anna, translated

原宿は観光客が訪れるべきスポットとして有名だが、観光客が消えたとき、どうなってしまうのだろうか? コロナ以前には、Harajuku Kawaii Tour (原宿カワイイツアー) は原宿の神秘を明らかにする役割を果たしていた。ゴスロリファッションに全身を包んだはむかさんは、興味津々の観光客たちに原宿の秘密の宝物を楽しく紹介していたのだ。しかし、ツアー業界が停滞している今、疑問が2つ浮かぶ。コロナパンデミックの中、Harajuku Kawaii Tourはどのような状況にあるのだろうか? そして、原宿はこの難しい時代を乗り越えられるのだろうか?   自己紹介をお願いします。 はむかです。ロリータファッション、パンクファッションなど、原宿系ファッションが好きです。普段は会社員をしつつ、時々原宿カワイイツアーでガイドをしています。 Harajuku Kawaii

パンデミックから2年間が過ぎ、私たちは皆、物事が日常に戻ることを心から望んでいる。いわゆるニューノーマルではなく、大きなイベントにマスクやソーシャルディスタンスなしで参加できる、そのような日常のことである。思い出せる限りでは、イベント業界で主流だったのは対面交流だが、新型コロナウイルスはまったくこの対極にあるのだ。イベントは対面のものからバーチャルなものに置き換えられたが、バーチャルイベントは何回かで飽きがきてしまうものではないだろうか? だがその一方、新型コロナウイルス環境下での対面イベントには、だれも望まないリスクがある。新型コロナウイルス以前の素晴らしい日々にいつかは戻れるのだろう、あるいはバーチャルのままで行くのだろうか? 予定されていたイベントにパンデミックが影響を与えたことは否定できない。対面イベントがいたるところで延期されたことで、業界は完全にお手上げ状態になった。それに加えて、私たちのイベントに対する考え方も急激に変化した。多くの人たちと閉ざされた空間にいることが心地良かったのだが、真逆に感じるようになってしまった。以前は大きなパーティーで元気をもらったり、好きなミュージシャンのコンサートライブを見たり、すし詰めのアニメコンベンションに行ったりする最高の時間があった。新しい経験をもたらす対面イベントは人々に愛されていた。しかし今日では、新型コロナウイルスの心配なしで人に出会うことができなくなっている。   Image courtesy of EDM Identity. この困難な状況の中、イベント主催者は参加者の健康を優先しながら、 対面イベントを開催するうえで創造性を発揮することができた。ソーシャルディスタンスを保ったドライブインコンサートから、指定されたボックスシートと感染防止用のプラスチック製の衝立まで、この困難な時期に業界ではいろいろな取り組みを行ってきている。しかし正直なところ、以前とは異なる対面イベントを実施する意味は何なのか? 安全な家にいればいいのに、わざわざイベントに行く必要があるのだろうか? 単に現状を受け入れるべきなのだろうか?

私たちは長く家に閉じこもりすぎていて、社会生活の送り方を今一度思い出す必要があるように思う。集合写真はどうやって撮るんだっけ? ハグしてもいい? 手は洗った? 人々の生活は、以前ほどシンプルではない。たとえワクチンを打ったとしても、コロナ対策は講じなくてはならないからだ。もちろん、外に出て誰かに会ってもいい! だけど、安全でいること、人との距離を保つことを忘れないで。     Models: @tokyo_lioness @shindo_goodbye Photographer: @choom.online Styling: @choom.online Model wears:

拡張されたサイバーコーデのはじまり。時代遅れのスタイルは更新して、仮想の森の風景を読み込む。ミラーレンズ眼鏡 (一日中スクリーンを見ている人には必須の、目を守ってくれるアイテムだ) も取り入れてみては? そして、デジタルアバターを作るのも忘れずに。何がリアルで何が仮想なのか…人々を惑わすのは楽しいもの。あなたは見分けられるだろうか?     Model: @lionlifts Photographer: @choom.online Styling: @choom.online Make-up: @tokyo_lioness Written by Ash,

コミュニティーとは、わたしたちがホームと呼ぶ場所。自分の好きなスタイルを次のステージに引き上げてくれる気の合う仲間と出会える安全な場所だ。ここ数十年の間に、TumblrやTikTokなどのオンラインプラットフォームから多くのスタイルが生まれた。Y2KからFairycoreまで、わたしたちの安全な空間作りに役立つ、『The COMM』セレクトの7つのネットスタイルを紹介しよう。   Image courtesy of Hauterrfly. 1 ラブコア もうバレンタインデーを待つ必要はない。だって、あなたのワードローブを丸ごと甘いお菓子の詰め合わせに簡単に変えることができるのだから。ラブコアは、毎日がバレンタインデー。TumblrやTikTokなどのソーシャルメディアでカルト的な人気を誇るラブコアは、ロマンチックなノスタルジアへの賛歌だ。ルビーレッドのハート型バッグから、バブルガムピンクのペンシルスカート、フリルのついたアクセサリーまで、ラブコアは女性らしさ、愛、そしてかわいらしさを体現している。   Image courtesy of Yoko Kulala. 2

1997年に青木正一氏は、日本のストリートファッションを紹介するための世界的な雑誌となる『FRUiTS』を創刊した。ところが2017年、創刊以来ずっと日本のストリートファッションを記録しつづけてきた同誌の休刊が発表される。「オシャレな子が撮れなくなった」 という青木氏の発言が伝えられるとネット上で大騒ぎになる。『The COMM』も含めた誰もが、氏の言葉の真意を明らかにしてほしいとコメントした。クールなファッションの人は、もはやいないということ? それとも、ストリートファッションは超ダサくなったから、青木氏はもうスナップを撮る気が湧かなくなったのだろうか。 『FRUiTS』誌 は青木氏の初めての雑誌というわけではなかった。実際、彼は1980年代から90年代にかけて『STREET』誌を数年間手がけた後、活動の拠点を東京へ戻すことにした。『STREET』や『FRUiTS』、『Tune (『FRUiTS』 の後に出版) 』。これらの雑誌のコンセプトはストリートにおけるサブカルチャー的ファッションを記録することだった。ファッションは、もはやファッションショーだけに限定されたものではなく、上流階級の目を楽しませるだけのものでもないことに青木氏は気付いたのだ。ファッションとは、着る人自身の心をストリートにおいてリアルタイムで表現するもの。東京の若者の愉快でフレッシュなファッションは、世界中の人々の注目を集めた。日本での雑誌の人気が高まりつづけるなか、イギリスのPhaidon社が『FRUiTS』からのベストショットを集めた写真集を出版した。幅広い読者層を想定して英語に翻訳されている。こうして『FRUiTS』は多くの人々に知れ渡っていった。時代の変化と共にインターネットが普及すると、『FRUiTS』からのスナップがLiveJournal (※) のようなフォーラムで広まり、Tumblrでは数えきれないほどリブログされるようになる。『FRUiTS』のデジタル化はすでに始まっていた。 ※ブログサービス名   Image