Vol. 4 第1.1号

舞台裏。10代の少女たちが衣装を着ようとバタバタしている。一方、町の反対側でも、10代の少女たちが学生服を着ようと渋々とベッドから這い出てきた。彼女たちの共通点は? まあ、彼女たちの衣装と学生服は同じなのだが——そう、制服だ。制服は、高校生活の規則、規制、および退屈な宿題を表すが、日本の学校の95%には制服があり、この国における通過儀礼とファッションステートメントとなっている。 60年代と70年代に、アイドルが制服を着始めた。例えば歌謡界のトリオ、山口百恵、桜田淳子、森昌子。アルバムのジャケットや写真撮影では、流行りのセーラー服に首元のリボンをつけて、ファンに女子高生であることをアピールしていた。高校生の制服ほど青春を感じさせるものはなく、清楚な制服アイドルのイメージが植え付けられていった。彼女たちのすぐ後に登場したキャンディーズなど70年代のグループも制服を衣装にしていたが、アイドルと制服が本格的に融合したのは80年代に入ってからである。   Image courtesy of Middle Edge. 80年代に入り、晴れやかなアイドル黄金時代は女子高生であふれかえった。髪型はボリューミーで、予算も増え、制服も可愛くなった。おニャン子クラブのように、無邪気さと反抗心の境界線を曖昧にするアイドルもいたが、それはセンセーショナルな組み合わせだった。高校生をコンセプトにしたガールズグループであるおニャン子クラブは、セーラー服の代名詞となることでセーラー服を普及させた。彼女たちの曲「セーラー服を脱がさないで」では、アイドルという無邪気なイメージを弄しながらも、若い女性たちの間で話されるセクシュアリティを切り口にしていた。 もう一人の制服を纏ったアイドルといえば、伝説の松田聖子だ。黄金時代のイメージキャラクターとして、10代の少女たちは彼女の髪型、いわゆる「聖子ちゃんカット」やぶりっ子をこぞって真似した。繊細なリボンのモチーフや柔らかそうなカーディガンなど、女性らしい制服を身につけていた。伝統的なセーラー服からシャツやボレロまで様々な制服を着こなし、ティーンの誰もが聖子を同級生のように感じていた。 90年代はアイドルにとっては静かな時代だったが、制服は変わらず流行していた。90年代に入って早々にデビューしたのが制服向上委員会である。制服を着て名門女子校の生徒のように振る舞い、アイドル活動のたびに学園祭の雰囲気を再現していた。桜っ子クラブも制服を着て、デビューシングル「なにがなんでも」にも制服を纏った。メンバーの大山アンザは、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」でセーラームーン役を演じた際、人びとが最もよく知っている制服を着用した。 安室奈美恵も、コギャルという形で制服の人気に大きな影響を与えた。女子高生たちはネクタイを緩め、スカートの丈を短くし、だぼだぼの白いルーズソックスを履いて渋谷を練り歩いた。安室は改革の女王であり、その大胆なスタイルで他のアイドルと一線を画した。   Image courtesy of Fandom.   1997年のモーニング娘。のおかげで、女子高生ファンは息を吹き返した。ルーズソックスは膝下丈のロゴ入りのソックスに変わり、シャツはボタンで閉じられた——制服に画一性が戻ったのだ。テレビ、ラジオ、音楽はアイドル不足にうんざりしていた。最近はガールズグループがヒットし、制服は演劇的に再構築された。衣装には装飾品や規制されていないアクセサリーが付け加えられる。バブルガムピンクの「カワイイ」コスチュームに身を包み、スカートを短くした℃-uteのようなグループがアイドルのパフォーマンスを支配していた。Buono!のミュージックビデオ「Kiss! Kiss!

選挙といっても、アイドル業界で決めるのは次期大統領ではなく人気ランキング上位のアイドル。2013年だけでも、第5回総選挙でのAKB48 (最大のポップグループとしてギネス世界記録を保持) の得票数は265万票。以来、総得票数は年々増加している。業界に多大な影響を与える総選挙はいかにして人々のブレない関心を集めたのだろう? 「選抜総選挙」とも呼ばれる総選挙はファンによる人気投票で、その結果しだいでメンバーのテレビ出演時の注目度、ミュージック・ビデオに映る時間の長さ、歌の割り当てが決まる。AKB48はランキングシステムと総選挙の先駆けだ。ファンは投票券が1枚入ったCDを購入し、好きなメンバーに投票する。選挙当日のうちに最多票を獲得したメンバーが発表され、順位に従ってグループ分けされる。上位16位までが「選抜」グループに入る一方、他はアンダーガールズ、ネクストガールズ、フューチャーガールズ、アップカミングガールズとして分類される。グループ分け終了後、全員の楽曲とミュージックビデオがリリースされる。   Image courtesy of Amara Japan. 驚いたことに、総選挙は草の根レベルで始まった。選挙というアイデアは、運営側の決断でなく、もともとはファン層からの声から生まれた。ステージで特定のメンバーばかり目立つのを一部のファンが不快に感じており、その不満をきっかけにセンターポジションを選挙で決めることになったのだ。ファンにとって、選挙は重大だ。なぜなら投票は、ランキング上位を望む「推し」(「お気に入りメンバー」をさすファン用語) への愛とサポートのあらわれだから。昔はメンバー内の人気を可視化することはタブーだったが、総選挙になるとその率直さが絶賛され世界中のJ-Popファンを魅了した。 AKB48のランキングシステムと総選挙が意味するものは人によってさまざまだ。「金しだいの選挙」と考える人もいる。このランキングは、ファンがこぞってCDを爆買いして推しメンバーに大量投票した結果だ。必然的に、裕福でまめなファンをもつメンバーが最大の恩恵を受ける。 一方、このシステムのおかげでメンバーには自己開発のチャンスがあるという人もいる。シャニ・ナティオは、JKT48 (インドネシアのAKB48の姉妹グループ) で32位になったときにグループ内の自分の役割を徹底的に見直した。そして、26位になったことがさらなるパフォーマンスの改善につながった。最終的には2019年に1位の栄冠を勝ち取った。各ランクの背後には常に歩みと成長の物語があるのだ。 これほど大きなグループにおいて、誰もが等しく注目されるのはほぼ不可能だ。ナンバー1になることは、チャンスが保証されることを意味する

今年のミスiD2021の大賞受賞者を発表します! こちらのアイドルオーディションでは、美しさだけではなく、自分らしさやアイデンティティーをしっかりと持っている人が選ばれます。今回の優勝者は、その全ての条件を満たしていました。可愛らしいお嬢様ファッションから、清楚なパーソナリティ、趣味の石収集など。彼女の存在感は最初から目立っていました。今日は大賞を受賞しましたが、明日はどうなることやら。     注: このすごくキュートな撮影は、ミスiDの公式コンテストやミスiDのスポンサーによるものではありません。 Model: @rottenraspberry_ Photographer: @choom.online Assistance: @vanwidih Written by Choom, translated by

ああ、1980年代… 当時はとってもシンプルだった。髪の毛はボリューミーで、前髪はふわふわ、そしてアイドル文化は最高潮だった。過ぎし日のアイドルたちは今日のアイコンとなっているので、その時代を追体験したいという人がいても不思議なことではない。身体は21世紀にありながら、20世紀のアイドルファンタジーの世界を楽しむマリエさんを紹介しよう。頭からつま先までくまなくかわいいコーディネートとその魅力的な振舞いに、アイドルファンなら誰でも心をつかまれるに違いない。     Location: @charollvintage Model: @sugar.baby.marie Photographer: @choom.online Assistance: @vanwidih Written by Choom, translated by

新しい年、新しいボリューム! でも『The COMM』で新しいのはこれだけじゃない。レトロな魔法のドル、ドリーが投稿した80年代からインスピレーションを受けたパステルカラーのファッションストーリーをチェックしてください。『The COMM』のInstagramとウェブサイトを忘れずチェックし、あなたの作品を『The COMM』に載せる機会をぜひ増やしてください!     Model: @mahoudolly Photographer: @hiroshiartandmore Written by The COMM,

もし、若い頃のありぃに、いつかあなたはアイドルになると言ったら、おそらく「まさか!」と言うだろう。現在、ありぃは新進気鋭のアイドルグループ、夢☆ペディアの唯一の外国人メンバーで、人々を魅了するカリスマ性とパフォーマンスをステージ上で披露している。しかし、いったいどうやって彼女はこのスポットライトの当たる衣装やダンスの世界に入ったのだろうか? 今日はパフォーマンスの日。ありぃは準備万端。でもまずは仕事。なぜなら、アイドルといえどもアイドル業以外の仕事をする必要があるからだ。アメリカのバージニア州から東京に留学したありぃは、自分が芸能界に携わる日々を送るとは想像もしていなかった。年頃になって、彼女はアイドルになるとはどういうことなのだろうかとよく考えるようになった。ありぃは歌手になりたかったが、そんなことは無理だろうと思っていた。彼女にとって、それは夢のまた夢の話なのだ!     仕事に向かうありぃは、メイド喫茶での仕事を思い出す。そこから彼女のパフォーマンスに対する情熱が高まり始めた。「わたしたちは、毎日ステージパフォーマンスをしていましたが、約1年半後、この活動を続けたい、でも、もっと大きなステージに立ってみたいと思っている自分がいました」。 数々のオーディションを受け、ありぃはついに夢☆ペディアの一員として、デビューへの切符を掴んだ。 「多くの女の子は、ここが完全な外見至上主義の 業界であることを忘れていると思います」 ショーの1時間前に到着したありぃは、直ぐにヘアメイクに取り掛かる。時間を無駄にすることなく、その日のパフォーマンスにぴったりの衣装を選んだり、身支度を整えたりと様々なことを同時にこなす。「多くの女の子は、ここが完全な外見至上主義の業界であることを忘れていると思います」とありぃは説明する。 彼女の外見が明らかに違うため、人々はいつも彼女に親切だとは限らなかった。今日、彼女は業界で数少ない外国人のアイドルの1人だが、時代は変わりつつある。 「日本に来てアイドルになりたいという女の子から、たくさんの質問を受けます」とありぃ。ありぃは彼女たちに、日本語を学び、「アーティスト」と「アイドル」のように歌うことの違いを知ることが大切だとアドバイスする。 ありぃはステージに向かう直前、ようやく髪型を決める。デビューから2ヶ月が経つが、ショーの前は未だに緊張でドキドキする。その日の曲順を記したセットリストを頭の中で復唱しながら、ウォーミングアップの発生練習と軽めのストレッチを行う。     さあ、ショータイム! グループは観客に背を向けてパフォーマンスを開始する。期待が高まる。ありぃにとって観客と向き合い、その中から馴染みのあるファン全員の顔を見るときほど、幸せな瞬間はない。パフォーマンスが彼女にやる気を与えてくれるものだとしたら、ファンと彼女の絆は彼女の高まったテンションを維持してくれるものなのだ。「アイドルのコンサートでは、ファンが『コール』(曲中の要所要所で合いの手のように入れる掛け声) をしてくれるので、興奮せずにはいられません!」 夢☆ペディアは人気のあるアイドル曲をカバーしているが、『TickTock』や『Evolution』などのオリジナル曲もある。(『Tick Tock』が彼女のお気に入り!) 最後の曲を歌い終えた後、グループは舞台裏へと向かう。物販の時間だ。 これは、終演後にファンがアイドルと直接会って話をし、サイン入りのポラロイド写真を購入するために設けられた時間だ。「皆とても親切で優しいです」と、ありぃは思い出し笑いをする。以前、あるファンが来日5周年を記念してシャンパンをプレゼントしてくれたことがある。しかし、ありぃがシャンパングラスを持っていないことに気づいた別のファンが、ペアシャンパングラスを購入し、彼女にプレゼントしてくれたのだ! グループの現在のファン層は狭いかもしれないが、ありぃは将来の大きな夢を持っている。 「夢☆ペディアを人気グループにしたい…」彼女の夢は、甲子園アイドルや東京アイドルフェスティバルなどの主要なイベントに出演すること。しかし、それ以前にありぃにとって最も大切なことは、夢☆ペディアのファンがどれほど忠実であるかを世の中に示すことだ。テクノロジーのおかげで、ファンとのつながりを維持することがはるかに簡単になった。

Vol. 4第1号「IDOL (アイドル) 」へようこそ。 アイドルの人生は、まったくもってのどかで幻想的です。ある時は寝室で座っていて、次の瞬間には何千人もの人の前でパフォーマンスをします。それはおとぎ話のように聞こえますが、ある人にとってはそれが現実になるのです。 完璧なストレートヘア、完璧な状態の肌、完璧にコーディネートされた制服——本当に、アイドルは頭からつま先まで完璧です! アイドルは歌やダンスといったスキルから、ユニークな個性、限りなく楽観的で人を魅了する魅力までを備える、万能なスーパースターです。好きにならないでいられるでしょうか? そして最高なのは、努力さえすれば誰でもアイドルになれるということです。しかし現実は、楽しいことばかりではありません。日本のアイドル業界は参入が難しく、現在の 「アイドル戦国時代」では、アイドルは一人ひとりが自立して目標を目指しています。何千人ものアイドルがいる中で、何か特別なものを持っていないと目立つことはできません。 PART ONE「ハロープロジェクト」では日本のアイドル文化の原点に迫ります。 秋葉原を拠点に活動するAKB48とそのたくさん (「たくさん」がポイント) のメンバーはご存知でしょうか。では、自称オタクのでんぱ組.incは?