Vol. 3 第3号

誰かに見られている気がすることはないだろうか? わたしたちは毎日SNSにコンテンツを投稿する。例えば、最新のダンストレンドを真似たTikTokの投稿、笑えるペットの動画、そして可愛いスナップ写真。フォロワーたちが笑ったり「いいね」したりするが、他に笑ったり「いいね」したりしているのは誰だろう? インターネット上に作られたアーカイブは、刻々と増大している。しかし、このデータ全てにアクセスできるのは誰だろう? 今回の撮影では『マトリックス』の赤い錠剤を飲み、SNSという外観を取り払って深く潜った。最初はたくさんのコーディングや2進数のように見えるが、おそらくそれ以外の何かがあるかも

みおちんをご紹介します。13.3万を超えるフォロワーがいる、日本のTikTokスターです! みおちんのトレードマークはティール (青緑色) のボブと透明なフレームのメガネで、コーディネートには明るい色と型破りでかっこいいプリントをよく取り入れている。素材や柄のごちゃごちゃな組み合わせからは、ヴィンテージな雰囲気と中性的なスタイルの魅力がにじみ出す。メイク? 真っ赤なリップにドール感のあるチーク。でも、みおちんは実験をしたことがないわけではない——彼女のメイクによる変身はTikTokの動画でも一番人気だ! みおちんはコンテンツクリエーターで、どんなものでもちょっとだけ手を出してみるのが好きだ。この1分は絵を描き、次の1分でダンス、またはコメディの寸劇をしている。何をするにしても、みおちんはいつでも視聴者も連れて行く。TikTokで最も人気な動画には、J-Popに合わせて「どうぶつの森」の色とりどりに塗られたイースターエッグを割り開ける動画、スパイダーマンが正体を明かした場面にリアクションする「デュエット」、そしてテーマパークでの口パクがある。これら全てを結びつけるのはみおちんの親しみやすさ——彼女は面白くて、可愛くて、気さくだ。    Image courtesy of Asobi System.   みおちんのメインのソーシャルメディアプラットフォームはTikTokだが、他にも一見の価値有りのクリエイティブで楽しいプロジェクトがある。彼女のYouTubeチャンネルには、主にファッションアイテムやライフスタイルブランドのHAUL動画がある。プライベートのインスタグラムのフィードには可愛いセルフィーで溢れている一方、2番目のインスタグラムは彼女のアートの発信の場となっている。彼女自身のスタイルと同様に明るく、カラフルで可愛い作品を取り上げている。このアートインスタグラムはパイプクリーナーとポンポンでできた立体的な作品もある。みおちんが不足していると感じたら、ピンバッジ、キーホルダー、ステッカーやアートプリントの形で彼女のアート作品を購入できる。 みおちんのコンテンツを一言で説明するとしたら、それは「楽しい」だろう。彼女はインスタグラムのアルゴリズムの裏をかこうとはしないし、#instafamousになるためにトレンドを追いかけもしない。みおちんは、自分の好きなファッション、メイク、アートと「どうぶつの森」をただ共有するだけの女の子だ!   TikTok Instagram Written by

2017年のディベート「原宿は死んだのか?」は、デコラのように愛されているストリートファッションが消えていっていることを多くの人に納得させたが、はるきゅ (@kirakirananiku) さんのようなTikTokスターはその逆を証明し続ける。このカラフルなファッションのファンたちは、音楽に合わせたロパクやダンスの動画で成功している。キッチュなレインボーレイヤーや黄色い髪、ステッカーを散らしたチークで知られているはるきゅさんは、原宿のファッションコミュニティーで活躍するメンバーで、Girl (ガール) と言う原宿サークルのイラストレーター。TikTokの日本のストリートファッションガールとしての経験について、はるきゅさんにインタビューした。   TikTokに投稿し始めたのはいつですか? なぜこのアプリに興味を持つようになったのですか? TikTokを投稿し始めたのは2019年10月からです! ですが、初投稿より前もTikTokに挑戦したり遊びで撮ったりはしていました! かなり前からシンプルに流行ってたから見てたのですが、自分でもやろうと思ったのは本当に最近のことでした。 どのような動画を作るのが好きですか? 動画は完全に自己満でやっているので、自分がやりたいもの、楽しく出来るものを撮ってます! ご自身のファッションをどのように説明しますか? ファッションに詳しくない方には原宿ファッション、ファッションに少し詳しい方にはデコラと説明しています! チープなアクセサリーやおもちゃを身につけ、ジャンルやカラーなどにルールのない自分らしさが存分に出せるファッションだと思っています!     TikTokが、日本のストリートファッションに興味がある人にとって、新しくてとても刺激的なプラットフォームである理由は何だと思いますか? TikTokでは、ファッションやおもしろ動画、音楽など興味のあるものから、興味のないものまで本当に様々に流れてます。良い意味でも悪い意味でもいろんな動画が見れるからなのかな、と思います。 日本のストリートファッションの定番であるデコラは、TikTokのような新しいソーシャルメディアでどのように受け入れましたか? デコラは日本そして原宿の中でも有名なファッションと思っていましたが、TikTokではかなり知らない人も多く、良い意見や悪い意見さまざまなものを頂きます。やってみたい! だったり、やってみました!

Windows95のロゴ、Microsoftペイント、ダイヤルアップ接続音——これはまさに90年代のレトロフューチャー。日暮れやネオンピンク、映画『Tron (トロン) 』からインスピレーションを得た車などは、ノスタルジックな気持ちを生じさせる (自分で体験したかどうかに関係なく)。TumblrはZ世代の先駆的な美的感覚を生みだした——例えば、Seapunk (シーパンク) やVaporwave (ヴェイパーウェイヴ) などのファッション。わたしたちのモデルは、レースアップのコルセットと魚のうろこのレギンスを、海にインスパイアされたアクセサリーと水から上がったばかりのようなメイクと合わせ、レイブのためにおめかししたマーメイドとして、オンラインのサブカルチャーにオマージュを捧げる。     Model: @tokyokittendoll Styling: @tokyokittendoll Photographer:

成功したインスタグラマーは、それがモデル、メイク、出版に関わる仕事のいずれであってもトレードマークを持っている。そこであなたに問いかけたい。もし、あなたが一通りのことを少しずつ試したとしたら、その全てをバズらせることができるだろうか? それをこなす人物が、太田晴也さんだ。彼はInstagramやTikTok向けにさまざまなコンテンツを制作し、そして独自のe-boyの「ブランド化」に成功した。e-boyの特徴は、輪郭のはっきりした顎、センターで分けた髪、「セクシー」なポーズだが、太田晴也さんは違う。彼のInstagramのホーム画面は彼のプロフェッショナルな作品のポートフォリオであり、TikTok動画は、より実験的でレトロを基調とした——例えば、VHSエフェクト、古いカメラ、80年代の音楽を使用——芸術的なビデオ編集をメインとしている。 太田さんは、ネオンカラーのふんわりヘアー、明るい色のポロシャツと黒のだぶだぶのトラックスーツを組み合わせた個性的なスタイルで知られている。彼はモデル、DJ、メイクアップアーティスト、そしておしゃれなサロンLess Is More (レスイズモア) のヘアースタイリストとして働いている。彼のInstagramをチェックすれば、Salvador Dali (サルバドール・ダリ) の絵画『記憶の固執』にインスパイアされた、きらきらと輝くアイメイクのような印象的な作品を見つけられるだろう。抽象芸術を連想させる彼の作品は、斬新で称賛すべき若者文化と言える。彼は、『Vogue』や『NuméroTokyo (ヌメロ・トウキョウ)

1995年。Windows 95が発売された。『Jumanji (ジュマンジ) 』が大ヒットとなった。そして新しい世代——赤ちゃんのジェネレーションZ——が登場した。ネットのカルチャーは、テクノロジーとノスタルジアを求める気持ちを生み出し、新しい流動性のアプローの種をまき、オンラインでのファッション革命を引き起こした。Tumblrを通して、若いミレニアル世代はVaporwave (ヴェイパーウェイヴ) とSeapunk (シーパンク) を生み出した。一方、現在ではZ世代がTikTokを通してe-girl (イーガール) を生み出している。つまり、Z世代が生んだe-girl

TikTokスターという言葉を聞くと、わたしたちのほとんどはアメリカのe-girlとe-boyを想像するでしょう。何と言っても、このアプリはZ世代のソーシャルメディアのメッカとして名を馳せている。しかしそれは、Z世代だけがこのアプリで活躍しているという意味ではない! @ohsokawaiixoxo、別名Sarah (サラ) さんは30代のオーストラリア人ティックトッカー。可愛く振り付けされたダンスと、ピンクや「カワイイ」もの全てを愛していることで知られている。Sarahさんは自身のスタイルをカジュアルなフェアリー系と表現する。動画ではLISTEN FLAVOR (リッスンフレーバー) や6%DOKIDOKI (ロクパーセントドキドキ) などの厚底スニーカーやニーハイソックスのように、カラーブロックで大胆に主張するアイテムを着用したSarahさんを見ることができる。現実の日常生活では実用的な服を着る必要がある一方、ソーシャルメディアは彼女にとって偽りなく自分自身を表現できる場所となっている。 未だにとても感激しています

LiveJournalからInstagramまで、ストリートファッションコミュニティーは、常にオンライン空間を大切にしてきた。わたしたちのファッションチョイスは現実世界で常に歓迎される訳ではないとわかっているので、このような空間で肯定感と開放性を育んできたのだ。コーディネートをCGLのような画像掲示板に投稿し、Facebookで語り、Twitterで投稿をシェアして、このグローバルなファッションコミュニティーは、より親密なものとなった。しかし、投稿やコメントがいつもコミュニティーの理想に沿っていた訳ではない。そのようなとき、コミュニティーのメンバーはアドバイスをすることで解決しようとしてきた。しかし、わたしたちは常に正しい方法で取りかかれていただろうか。非難をするべきだったのだろうか、それとも建設的批評をするべきだったのだろうか。   批評とは、本来は否定的なことではない——ソーシャルメディア時代における要とも言えよう。あなたもかつて経験したことがあるかもしれない…日本のストリートファッションのフォーラムにコーディネートを投稿すると、必ず誰かがスタイリングのアドバイスをしてくる。あなたが意見を求めていないうちは、傷つくこともないし、異なる視点を得ることもできる。「建設的」な批評がもたらすのは、改善につながるフィードバックだ。ユーチューバーのTyler Willis (タイラー・ウィリス) さんは、自身のシリーズ「Last Week Lolita News」で、わたしたちのコミュニティーで持ち上がる難しい話題について、皮肉を交えて論じている。『Your Replica is Bad

わたしたちの中にも新しい国に引っ越すことを夢見る人は多くいるが、TokiDoki Traveller (トキドキトラベラー) としても知られているEmma (エマ) さんはその夢を現実のものとした。4年前にオーストラリアから東京に引っ越してきたEmmaさんは、日本のさまざまな側面を魅せる、評判の高い楽しい動画ブロガーとなった。EmmaさんのYouTubeチャンネルにはカプセルホテルから大阪の訪れるべき場所まで、あらゆるものをカバーする数多くの動画がある。『The COMM』はEmmaさんに東京の生活と、(もちろん!) YouTubeについての話をじっくり聞いた。   YouTubeで旅行の動画ブログであるTokidoki Travellerを始めたきっかけは何だったのですか? 日本に引っ越す前は大学で演劇を学んでいて、どんなクリエイティブな機会が日本にあるのか知りませんでした。だから、YouTubeは自分を表現するのに最適だと思ったんです。自分一人でできるので! 時間が経つにつれて、コンテンツはどのように進化しましたか? 日本に初めて来たとき、わたしはたったの20歳で、自分のアイデンティティーや強い孤独感と闘っていました。でも、同時に新しい国で暮らすことにわくわくする気持ちも感じていました。このような良いときと悪いときが初期の動画に反映されていました。悲しい、アート寄りのコンテンツとめちゃくちゃポジティブな動画が混在してたのです。少しとっ散らかっている感じはありますが、それでもこの時期の動画を誇りに思っています。今では、経験から学び、よりシンプルでまとまったスタイルになりました。精神状態が安定したのを反映しているんだと思います。     YouTubeで尊敬しているコンテンツクリエーターは? Jack Stauber

Forbes1の調査によると、2010年には25万本近くのHAUL動画 (※) がインターネットにアップロードされた。インフルエンサーは、最新のトレンドを視聴者に届け、新製品を宣伝し、そして視聴者に新しいことを試すよう促すためにHAUL動画を投稿する——それこそが、YouTuberであるPretty Pastel Please (プリティー・パステル・プリーズ) さんがしていることだ。 ※ 自分が購入した商品についての感想や意見などを語る様子を撮影した動画 このオーストラリア生まれのインフルエンサーは、2008年にメイクアップのチュートリアルビデオで動画ブログを始めた。そして、9年後にPretty Pastel Please