トレンドレポ: プラスティックの台頭
良くも悪くも、プラスチックがファッションを変化させてきた。低価格、豊富なカラーバリエーション、そして耐久性のあるプラスチックを材料として使うことは、安くて楽しいジュエリーやアクセサリーを製作するのにもってこいの方法になってきた。この記事では、日本のストリートファッションにプラスチックが取り入れられている最新のクリエイティブな使い方を見つけるために、Instagramをスクロールした。私たちのえり抜きをチェックしてください! Image courtesy of Miss Pink Stazi. Miss Pink Stazi Miss Pink Stazi
Chamu Boy
ファッションとアートには大きな類似点がある——どちらの分野も、創造性を発揮する機会を与えてくれる。この撮影では、広島を拠点とするクリエイティブなChamu Boy (チャム・ボーイ) さんが、鮮やかな原色を漫画のイラストと組み合わせ、アートを土台としたさまざまなスタイルを融合させた個性的なファッションを表現している。手作りのレーザーカット加工のアクセサリーで知られるChamu Boyさんは、プラスチックを貴重な金のアクセサリーのように価値のあるものに変えることができるのだ。 ピンクのチークを入れた頬、ペールグリーンのユラユラ揺れるイヤリング、結び目のない蝶ネクタイ、またはレーザーカット加工のネオンメガネなど、カラフルなわんぱくボーイ、Chamu Boyさんはファッションを楽しんでいる——世界の終わりが暗く灰色に包まれていたとしても、彼が生み出すファッションは明るく色鮮やかなのだ! Instagram Location: Tachikawa Model: @chamu.boy Model wears:
古着、流動性、ジェネレーションZ
下北沢。昼の12時。肌寒い中、落ち着いた雰囲気が漂う。それが下北沢――流行の最先端を行く人々の天国。道を右へ、左へ、そしてまた右へ曲がると…自分がどこにいるのかわからなくなってしまう。でも隠れ家スポットに巡り合えるとわかっていれば、気になんてならない。フェイクの赤レンガに観葉植物が並ぶ店構えと、赤、白、青のネオンサインを探してみて。元銭湯の古着屋「NEW YORK JOE EXCHANGE (ニューヨーク・ジョー・エクスチェンジ) 」へようこそ。ここではZ世代 (ジェネレーションZ) のファッションに対する柔軟なアプローチを見ることができる。 1段、2段、3段と、階段を降りて、観音開きに大きく開いた入り口へ。通路沿いには新しい (古着だが) 在庫が詰まった黒いゴミ袋が並んでいる。レジを通り過ぎる。上はまだ見ないで。驚くかもしれないが、この古着屋で最も面白い部分はフロアなのだ。白い四角いタイルがグレーのセメントに散りばめられているのだが――年季が入っている。さらにもう少し進むと、ネイビーブルーのタイルに囲まれる――かつての銭湯の男湯だ。右側は赤いタイルの女湯。ここがメインステージだ。時間と空間が、圧縮されて、崩壊して、分解される場所。そして後に残るのは「流動性」。新しい黒い袋それぞれが、時代を超えてきた多種多様な衣類で詰まっている。最初はただの「ごちゃまぜ」のように感じるだろう――調和しない柄に、相反するシルエットがぎっしり。しかし、もっと広い見方をすると、この古着屋自体がZ世代の「流動性」をまるっきり反映しているように思えてくる。 Z世代は盛んに議論の的となる世代で、 近年はあまり好ましくない論調で語られている。 ジェネレーションZ
Brittany Glassey
「わたしはクリエイティブな成果を生み出すのにテクノロジーとインターネットに助けられてきました。だから、このテクノロジーがどのようにクリエイティブなコンセプトを次のレベルへ引き上げることができるのか調べてみたいのです。」 こちらは、ファッションデザイン科を最近卒業したニュージーランド出身のBrittany Glassey (ブリタニー・グラッシー) さん。テクノロジーと日本のストリートファッションに着想を得て、この2つを自身のデザインにいつも取り入れている。Brittanyさんの最近のコレクション「Creativity Gets an Upgrade」ではレーザーカット、LEDやiPhoneを活用している 。『The COMM』はこの将来有望なデザイナーから話を伺い、彼女のファッションにおける道のり、創造性の表現としてのテクノロジー、そして日本のストリートファッションコミュニティーでより高いサステナビリティを実現する方法について話し合った。 COMMunityに自己紹介をお願いします。 みなさんこんにちは、Brittanyです! わたしは明るい色と、物を作ること——アートでもファッションでも、その中間の物でも!——が大好きです。デザイン学士号
The Superiors
東京のような都市にいると、サステナビリティ (持続可能性) について絶望感を抱くことが度々ある。果物と野菜は個別包装され、無責任なプラスチックごみの処理についての報道は絶えることがない。そしてもちろん——ファストファッション。わたしたちは負け戦をしているように感じるかもしれない。しかし、できる限りのことはするべきだ。たとえ個人が貢献できることはわずかだとしても。アメリカのボルチモア、そして日本の東京に拠点を置くアパレルブランドのTHE SUPERIORS (ザ・スペリオーズ) は、わたしたちにこのことについて考えるきっかけを与えている。2014年にMiles Davis (マイルス・デイビス) とUlysses Richmond
考察: 買うのをやめて、古着に切り替える?
ヨーロッパでは、大手ブランドがよりサステナブルになることを約束している。多くのブランドにとって最も重要なことは、ファッション業界がもたらした環境への影響の責任をとること――あるいは、少なくともそのように見せることだ。例えば、H&Mはウェブサイト (※) に「サステナビリティ (持続可能性) 」のページを設けている。「Conscious (コンシャス) 」と呼ばれる商品ラインのためのもので、ブランドのサステナビリティ戦略を紹介している。H&Mは2040年までに「クライメット・ポジティブ」(わたしたちの環境にマイナスの影響を与えないこと) の達成を目指している。しかし懐疑的な人々は、それでは地球に変化をもたらすには遅く、ウェブサイトにはサステナブルな商品よりも、そうでないもののほうが明らかに多いと考えている。多くの大手ブランドが「グリーンウォッシュ」――実態よりも環境に配慮しているように見せている――として批判されてきたが、H&Mはその一例に過ぎない。 ※一部の国のみ 大手ブランドをコントロールすることはなかなか難しいが、わたしたちに個人として何かできることはないのだろうか。環境問題に敏感な人々は、極端な新アプローチを取っている。単純に買うことをやめ、消費をやめることだ。それを駆り立てているのは、最終的に廃棄物を生むだけの過剰消費を促しながらも、環境に配慮しているかのように見せかける大手ブランドへの怒り。たとえ「エコフレンドリー」だとして売られていても、おそらくそうではないことから、新しい衣類を買わないことがそれに対する回答だと、多くが信じている。真のサステナビリティは、ほとんど反消費運動を意味している。しかしこれは現実的な生き方と言えるだろうか? とりわけ私たちファッション愛好家にとっては、この考え方は非常に極端であるように思われる。それに、多くの人は衣類を必需品と考えている。良い落としどころはないのだろうか? そう、それはご想像の通り――古着だ!
Mer-made
ここ数年、気候変動は国際的な議論の中心となっている。 汚染された海、氷河の融解、海面の上昇、極端で予測不能な気象パターンはほんの一部の例だ! 変化に直面し、わたしたちはみな適応していかなければならなかった。でも、何を犠牲に? この撮影では、変化が人魚の身の上にもたらした結果について考える。しかし、ここでは『 The Little Mermaid (リトル・マーメイド) 』のお話のようには行かない。アリエルはフランダーと自由に海で泳ぐことはできないのだ。この人魚は捕われ、加工され、スーパーマーケットに陳列されたマグロのようにプラスチックのパッケージに入れられている。彼女は文明により今にも窒息しそうなのだ! 彼女はもはや海の女神ではない。今や人間に加工されたマーメイド (Mer-made)
錯乱
錯乱さんは、ファッションデザインを学ぶ学生で、どんなものでもおしゃれにしてしまう才能を持っていると言っても過言ではない。彼女は、洗剤ボトルを財布として、金属配管をスカーフとして、そして段ボール箱とビニール袋を衣装として使用する。錯乱さんは、この写真撮影で彼女のトレードマークである「ガラクタをカワイイものに変える」スタイルを身に纏っている。彼女は、とどまることのない繁栄がもたらした世界の終わりのその後——終末の世界に登場したタイヤのモンスターに恐怖を抱いている。ネットやスポンジ、その他さまざまななもので作られたヘアーピースは、プラスチックの廃棄物が、海の生き物たちからすみかである美しい海を奪っていることに対する憂いを抱かせる。袖は毒された地球を舞台にしたSF映画で見られる突然変異に似ている。そのきらめく質感は、かつて未来の繁栄の象徴だった60年代の宇宙開発競争を彷彿させる。資源が乏しく、志が低い世界で、なぜ錯乱さんのようなスタイルが受け入れられないのだろうか? Instagram Location: Nishirokugo Park Photographer: @misa_kusakabe Model: @sakuran_is_ Shoot direction: @choom.online Written by Cora, translated