コロナ禍でも交流を生み続ける、Bay Area Kei
イベントというのは、人と人とを繋げてくれるもので、日本のストリートファッションのコミュニティにおいては欠かせない。パンデミックが発生して以来、世界中でイベントが中止されているが、サンフランシスコも例外ではない。ファッション好きが集う熱狂的なチームが、イベントを開催するならもうオンラインしかないだろうと考えて誕生したのが「Bay Area Kei (ベー・アリア・ケー) 」だ。人に会いにくくなった時代におけるコミュニティの重要性について、チームのメンバーに聞いてみよう。
Bay Area Keiについて教えてください。
私たちは、日本のストリートファッション愛好家のグループで、サンフランシスコ・ベイエリアの地域コミュニティをまとめるために、オンラインイベントを開催しています。もっと大きくて世界規模な、日本のストリートファッションのコミュニティにも参加していますよ。
新型コロナウイルスのせいで、長年かけて築き上げてきたコミュニティ意識が失われることが怖かったです。サンフランシスコ・ベイエリアでは、小規模イベントはほぼ毎週、大規模イベントは年に数回開催されていました。顔を合わせての交流に代わるものはありませんが、時間を確保してしっかり計画を練り、オンラインでコンテンツを提供することで、中止になったイベントの穴埋めができると考えました。
Bay Area Keiを動かすチームについても教えてください。
立ち上げメンバーは、HalleyとObsixwi、Liliの3人です。私たちはすでにTwitchでのライブストリーミングの経験がありましたし、ありがたいことにJ-Fashion On Demandから多くの支援を受けました。Halleyに関しては、いくつかの個人ブランドと密接に仕事をしていますので、参加者を増やすためにはネットワークづくりが鍵でしたね。イベント「Sea of Serenity (シー・オブ・セレニティ) 」では、一気に広めることができました。この新しいチームは本格的なオンラインイベント企画委員会に成長し、「Bay Area Kei」と名付けたんです。
最初のイベントは「Ursa Major 2020」でしたね。オンラインイベントを開催し始めた頃から、何か変化はありますか?
初めてのイベント「Ursa Major (アーサ・メジャー) 」では、十分な準備期間が取れなかったんです。しかも、二度目があるとは思っていなかったので、私たち個人のアカウントと参加ブランド以外のソーシャルメディアでの熱心な拡散はしていませんでした。
最近のイベントでは平均して20~25個のコーナーがあって、情報提供だけではなく、ゲームショーやDIY、料理教室など、おうちで楽しめるものに広げています。2回目のイベント「Sea of Serenity」の後には、自分たちのウェブサイトも立ち上げました。パンデミックはすぐに収束しないなと察していたので、しばらくはオンラインイベントを行うことになりました。
1番変化したのはティーパーティーでしょうね。初めての「Ursa Major」は、大規模なZoomチャットでした。その後、ティーパーティーをDiscordに移して少人数のグループに分けることで、飾らない会話ができるようになりました。当初はDiscordのサーバーをティーパーティーにだけ使う予定でしたが、イベント活動のハブとして開放することにしました。そうすることで実際のイベントのように気軽におしゃべりしたり、誰かと出会ったり、発信者に質問したり、コーデを見せ合ったり、コーナーについて話したりできますよ。
これまでにも多くの、テーマを設けたオンラインイベントを開催されていますが、今度のイベントは「Ursa Major² (アーサ・メジャー2) 」ですね。テーマはどのように決めたんですか?
イベントの名前を考えているのは、リーダーのHalleyです。テーマは参加者の想像力をかき立てるようなものを選ぶようにしています。「Ursa Major」では、カリフォルニアとベイエリアを反映したテーマにしました。日本のストリートファッションには、テディベアや、星と宇宙のプリントが多く見られるので、親近感を持ってもらえるかなと思ったんです。
「Ursa Major²」には、EMILY TEMPLE CUTE (エミリー・テンプル・キュート) やHAENULI (ヘヌリ) といった有名どころと一緒に取り組んでいますよね。Bay Area Keiがここまで国際的に飛躍することを想像していましたか?
これまでにもHalleyは、HAENULIをはじめとする世界中のブランドとの仕事を成功させてきましたが、今回また新たなブランドが加わることになってすごくワクワクしています。中には、向こうから声をかけてくれたブランドもあったりして、オンラインイベントを成功させるために奮闘してきた自分たちの努力が報われたような気分です。
実際のイベントと比べて、オンラインイベントの利点は何ですか?
まずオンラインだと会場費やケータリング費がかからないので、準備が大変なイベントを開催したとしても、現地開催のイベントよりも圧倒的に費用を抑えることができます。そうすると参加費も無料にできるので、高い参加費がネックだった人にも気軽に参加してもらえるようになります。ティーパーティーの参加者には、私たちが選んだ慈善団体への寄付をお願いしていますが、お金を払わなくてもソーシャルメディアの投稿をシェアするだけで参加表明ができるオプションもあります。
参加者の中には、現地開催のイベントの場合は、会場が遠かったり事情があって外出できない人や、ファッション初心者で会場に初めて来ることに不安を感じる人もいます。その点オンラインイベントは、参加のハードルが低いんです。自宅でくつろいだ状態で、コーナーを見たり人に会ったりできますし、スケジュールが合わない場合は、録画してアップロードしたものを後で見ることもできます。
オンラインイベントは何の代わりでもなく、新しい体験をもたらすまったく別のものだと考えたいです。
今後、現地開催のイベントはどうなっていきますか?
毎年開催してきた、個人ブランドの買い物ができるホリデー・ポップアップ・ショップを、今年は復活させる予定です! ベイエリアのコロナワクチン接種率はとても高いので、12月の例年通りの日程で、通常のショッピングイベントを開催できるのではと期待しています。イベント規模の縮小やマスク着用の義務化など、コミュニティの安全を守るための対策は、進んで行います。
Website
Introduction and questions by Stefanie, translated by Chinatsu.
Images courtesy of Bay Area Kei.