ソーシャルメディアとアイドルについて知ってほしいこと
これまで何度も言われてきたことだが、ソーシャルメディアはわたしたちの生活をがらりと変えた。本号では、アイドルの起源、アイドルによって出現した独特のファン文化、インタビューで見えてきたアイドル伝説を特集した。そして今、マーク・ザッカーバーグのような世界中のソーシャルメディア創業者のおかげで、普通のアイドルの世界がどのように変わったのかについて語るべき時が来た。
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それで、ソーシャルメディアとアイドルの関係って?
ソーシャルメディアの最大の役割は、アクセスを提供すること。そのアクセスは公開と非公開、どちらの場合もある。そのバランスは再調整されることもあるが、これは誰が門番なのかによって左右される。アイドルになりたければ、Instagramにストーリーを投稿するかTikTokに動画を上げてみて! ファンもできるし、同時にパフォーマンスの練習にもなる。さらに! ソーシャルメディアは検索ならお手のもの。好きなアイドルに関してあらゆる情報をチェックすることほど、ファンとしての「熱心さ」を語るものはない。
Image courtesy of Johnny & Associates.
ちょっと待って、「門番」って誰?
日本では、J-Popアイドルをあちこちで目にするし、メディアへの露出も多いようだ。彼らは、バラエティー番組の司会やコメディ番組への出演に始まり、俳優やスポーツ番組のコメンテーター、ブランドキャンペーンの顔まで務める。エンターテイメントに対するこうした「何でもできます」的なアプローチは、日本のエンターテイメント業界で最大の芸能プロダクションである「ジャニーズ事務所」の創設者、故ジョニー喜多川が始めた。2019年に彼の姪が社長を引き継いだが、ジャニー喜多川の業績 (性的虐待スキャンダルは別にして) は数多くある。その1つが、日本のテレビ業界を支配することでアイドルを取り巻く状況に大変革をもたらしたことだ。ジャニーズ事務所は別名「門番」とも呼ばれ、欧米の芸能プロダクションの原型となった――その奇妙な、写真掲載への嫌悪までも。
ウケる。吸血鬼みたい。写真嫌いの人なんている?
ジャニーズ事務所はタレントの画像を「過度に」厳しく制限しつづけていた。通常、画像の所有権はアイドルのものだが、ジャニーズ事務所では事務所のものだった。そのため、タレントの写真を入手するにはジャニーズのサイトへ直接リンクするように設定されていた。このルールは極めて厳格に守られ、ジャニーズ事務所のホームページ上でさえ、所属タレントの画像掲載は許されなかった (独創的で安上がりな代替策として、タレントのシルエットが用いられていた)。
2018年まで、タレントを見るにはじかに会うか、ごく限られた場所へ出向いて目にするかのどちらかの方法しかなかった。なぜ2018年かって? (うーん、わかんない。) おそらく、ソーシャルメディアの先を行くしかないと事務所が気づいたからだろう (12才の子どもの写真まで禁止するのはバカげていると思う)。しかし実際のところ、それほど優位に立つことはできなかった。ただの「不十分な」禁止だった!
Image courtesy of Tokyo Hive.
つまりソーシャルメディアはアイドルに、自分の画像に対する権利も与えたの?
まあ、そんなとこかな、正確にはちょっと違うけど。ジャニーズ事務所のタレントは未だにソーシャルメディアのアカウントを持っていないし、こっそり持つと厳しく罰せられる。彼らの写真をTwitterやFacebookで見ることはできるが、実は、全ての報道機関はソーシャルメディアのアカウントを持っており、わたしたちの見る写真はそれらのアカウントを通じてのものだ。ところが、である。彼らは「Johnny’s Web」を存分に利用「できる」。このサイトでは、ファンがジャニーズ事務所にお金を払って、所属するアイドルがオンライン投稿したものを見ることができる (ただしアイドルからファンへの連絡は禁じられている)。
ジャニーズ事務所タレント以外なら誰でも、ソーシャルメディアへアクセスすれば、ファンとの会話が実現する。日本のアイドルはいつも、ファンとの物理的な距離を少しだけ縮めてくれる。交流イベントや物販は当たり前だが、それは「推し」と同じ空気を吸うためには日本にいなければならないことを意味する。気候変動に加担したくないし、純粋にチケットが高い。そんな飛行機に対し、ソーシャルメディアはアイドルにとって、異なる大陸に住むファンに一対一のひと時を贈るための最高の手段だ。ファンと良い時も悪い時も分かち合いながら人生の旅路を歩むことはアイドルとしてのキャリアの大部分を占めるため、ソーシャルメディアプラットフォームは新進アイドルにとって文句なしの機能だ。
オーケー、新進アイドルの名前教えて!
ええと、フワちゃんっていうYouTuber、女性アイドルグループのCy8er (サイバー)…
フワちゃんについてもっと教えてくれる? 彼女、面白そう!
そう、フワちゃんはホントに面白い! GALAXXXY (ギャラクシー) や東京ガールズコレクションでモデルの経験だってある。彼女のInstagramをのぞいてみると、麻薬の幻覚症状みたいに強烈な配色。Instagramのプロファイルには「私のカラフルなInstagramと騒がしいYouTubeをチェックして!」とある。彼女は、自分がとんでもないバカに見えても全然気にしない。フワちゃんTVがその証拠だ!
Written by Anna, translated by Tomoko.
Featured image courtesy of Gaijin Pot Blog.