8月 2021

ピーチクパーチク! あー、もう。あの鳥たち、黙っていられないの? ここに眠ろうとしている人がいますよ! もう1年以上も経つのに、わたしたちはまだ家に閉じ込められている。人口の半分は時間を有効に活用しようと編み物を始めた。もう半分は道理をわきまえて怠惰になった。それがわたしたちだ! 自発的な寝たきり。ボスからはずっと電話がかかってくるけど、わたしたちがベッドから出ると思っているなら正気じゃない。ふわふわの枕に頭をぽすんと載せて、ふかふかで柔らかいマットレスにうずもれよう。夢の世界にふわっと上陸してベッドと一つになろう。世界は混沌としているけれど、ベッドの中は安全だ。     Model: @pinkgaijin Photographer: @choom.online Styling: @choom.online Model wears: @s.f_for_you

Océane (オセアン) さんを表すのにぴったりな言葉は、収集癖のある「カササギ」かも。彼女のベッドルームには本当に色んなものがあるから。こっちにハローキティ、あっちにセーラームーン、そして高橋真琴の作品もあちこちに。まるで、キッチュでかわいい小物の展覧会だ。歴史はカササギに手厳しい。イギリスの言い伝えでは、カササギは魔術と結び付けられたりしているが、あながち間違ってはないのだろう。Océaneさんが、ピンク色に光る、乙女ちっくな魔法のクモの糸を一振りすれば、最初はごちゃごちゃして何てことのないように見えた部屋が、彼女だけのファンタジー・ワンダーランドに早変わり。彼女のスタイルのこれまでとこれから、ガーリーな世界の体現化、そしてお人形の洋服について話を聞いてみよう。   前にお話した時は、作品に似ているという理由でパリの美術館から追い出されて以来、「美術館に入れないなら、美術館そのものになろう」がモットーということでしたが、その後どうですか? 本当に忘れてました! あれからわたしのスタイルは結構変わって、美術館の絵がプリントされたバッグを持つことはもうないので、そんな問題は解決されましたね、あはは。 このコロナ禍において、フランス在住スタイリスト兼デザイナーとして、どのような生活を送っていますか? わたしはむしろラッキーだったと言えます。インターンシップを終えたのが、最初のロックダウンの2日前だったので。パンデミックが、自分のブランドBELLE LURETTE (ベル・ルーレット) のデザインと開発を見直す機会になりました。たくさんのことを深く考えることは、精神的に疲れます。でも今は、自分も成長できたし、デザインに花が咲いているように感じています。     日本のストリートファッションに出会った時のことを教えてください。 インターネットを使い始めて間もない、11歳の頃です。アニメの「おジャ魔女どれみ」に、すっかり心を奪われました。登場人物たちの写真ばかり眺めて過ごしました。ある日、日本のファッション雑誌の画像を見つけたんです。『KERA』か『FRUiTS』か、忘れましたけど。その写真の中の人が「おジャ魔女どれみ」のバッグを持って、デコラファッションをしてたんです。生身の人間が実生活でこんな服を着ているんだってことが衝撃的で、そこから日本のあらゆるジャンルのファッションを勉強し始めました。 昔はロリータでしたが、2000年代にインスパイアされたロココ調に系統チェンジしましたね。何に刺激を受けたんですか?

子どもの頃のお姫様のようなピンク色の壁を、マットな黒のペンキで塗り潰すのは爽快だ。協力的なお母さんは自分の赤ちゃんに個性が出てきた、と満面の笑みを浮かべていたかもしれない。お父さんは? しかめっ面——ゴシック調のインテリアが嫌いであることは間違いない。自分のベッドルームを案内するのを楽しみに、あなたは親友を招待し、天井まで不規則に貼られたアニメのポスター、大好きなバンドのアルバム、イケアのレースカーテンなどを見せて回った。 それ以来、さまざまな装飾を試してきた。『Twilight (トワイライト)』を祭るほこらには、ワイン (血を再現するクランベリージュース) を用意。次は黒では味気ない、とサイケデリックなレインボーの部屋に。しかし、ベッドと壁の間には、あなたの最も深く暗い秘密が隠されている——感情のまま書き散らした日記や元カレへのラブポエム。自分がほぼ完全にコントロールできる空間であるベッドルームの模様替えは、どれも自分らしさを表現しているのだ。   Image courtesy of The Fader. ベッドルームはコミュニティーに欠かせない、安全な空間だ。人生には良い時も悪い時もある。部屋で過ごしたその幸せな時間と悲しい時間が、今のコミュニティーを形成する経験となっている。ベッドルームはコミュニティーが自分たちの人生を記録するためのキャンバスなのだ。 ほとんどの人がベッドルームを最初の探求と実験の場にしたのは、そこが自分の部屋と呼べる最初の場所だったからだ。多くの場合、10代前半の自己表現でまず犠牲になるのは壁——プリクラ、芸能人の写真、雑誌の切り抜き、落書きなどが壁一面に散らばっている様はまるでごちゃごちゃのギャラリーだ。オルタナティブファッションに出会ったばかりの人にとっては、ベッドルームは家の中で自分を存分に表現できる唯一のプライベート空間なのだ。親や兄弟はあなたがわざとタイツを破いたり、長い髪を刈ったりする理由をいつも理解してくれるわけではない。同じように、実家の自分の部屋以外がすべてベージュである理由もわからない

シフォンとレースを重ね、まるでふわふわの雲に包まれているかのようなYour Fashion SystemことAhyana (アヤナ) さんは、究極のドリームガールだ。カルトパーティー系からインスピレーションを得たAhyanaさんは、くつろぎの部屋着スタイルを、原宿の街に繰り出すのにぴったりなスタイルに変えてしまう。頭からつま先まで白のヴィンテージコーデに身を包んだ彼女は、とても優美で神々しい。まさに夜のリラックスタイムに相応しい装いだ。     Model: @yourfashionsystem Photographer: @yourfashionsystem Written by Choom, translated

Vol. 4第4号「Safe Spaces (安全な空間) 」へようこそ。 居心地の良い、小さな部屋に引きこもる時が来ました。この2、3年は、誰もが疲弊していました。深刻なコロナ禍のためにステイホームを余儀なくされ、気が狂いそうになったり、その新型コロナウィルスが未だ世界中で猛威を振るっているにも関わらず、会社に出勤するよう突然言われたこともあったでしょう。 日本のストリートファッションコミュニティーは、社会的な交流をとても大切にしています。コンベンションからミートアップ、Facebookからフォーラムなど様々な方法や場所で、ファッションに対する熱い思いを語り合っています。自分に素直になり、友達と楽しい時間を過ごすことができる安全な空間がオンライン、オフライン、両方のコミュニティーなのです。しかし、現在のような困難な時期には、コミュニティーとも疎遠になりがちで、オンラインで話すことも煩わしく感じることがあるでしょう。今、わたしたちはこれまで以上に安全な空間を持つことの意味を再認識する必要があるのではないでしょうか。 PART ONEの「わたしのベッドルーム」では、家の中の究極の聖域を紹介します。 ここは、ファッションコミュニティーに属するほとんどの人が、隠れてお気に入りのフリフリのドレスに囲まれながら、オルタナティブファッション誌に何時間も目を通す場所。今回のベッドルーム特集では、オルタナティブスタイルを中心にアイデンティティを形成したわたしたちの青春時代について取り上げます。ベッドルームはわたしたちのパーソナルスタイルや自己表現の1つ。そんな自分らしいベッドルームを創り上げたスタイルの全く異なる3人のファッショニスタ、ロココプリンセスのOcéane (オセアン) さん、パステルカラー好きのLaura (ローラ) さん、そしてフェアリー系の第一人者Mimita