2月 2020

赤い鼻にピンクの頬。息は荒く、でも安定している。深い草原を抜けて樫の木を回り込み、イチョウ色に輝く少女は行く。彼女が自然の恵みを探索する様を見よ、好奇心を見よ。冒険と、野生のものたちの行き先を求めて。 ・・・ この号全体を通して素材を扱う——どのように使用し乱用しているか、どのように享受し破壊しているか。それを始めるのに、短い素敵なおとぎ話以上にふさわしいものはない。ピリッと寒い冬の朝にリッチモンド・パークで、セントラル・セント・マーチンズ大学の卒業生Samson Leung (サムソン・ルング) さん提供の衣服を纏って行った『The COMM』のファッションストーリー撮影を見てください。     Location: Richmond Park Model: @choom.online Photographer: @anna.boat.prem Photo editing:

森ガールは、2006年に登場したファッションスタイルだ。同年、コミュニティーメンバーのChocoさんがSNSサイトmixiに「森ガールになる方法」を投稿した。このストリートファッションを着る人たちからはアースカラー、ざっくりニット、レース、ヴィンテージな花柄や天然繊維を重ねた、ゆるい雰囲気の流れるようなシルエットが好まれる——童話の上品な「おばあちゃん」を思い浮かべて。2009年に人気が最高潮に達したが、それ以降地球温暖化への不安に応える森ガールは生まれなくなった。しかし最近、自然素材、DIYや中古品売買を推奨する森ガールファッションは、環境を配慮したショッピングに関心を持ち、日本のストリートファッションを愛する人たちの間ですぐ人気となった。 森ガールを良く知らないけれど興味があって試してみたい人、この記事はあなたのためにあります! 本格的な森ガールのコーディネートに必須のアイテムを1つずつ説明します。ここに挙げたアイテムのいくつかをあなたのクローゼットに足すのが、新しいコーディネートを試すのに最適な方法です!   Image courtesy of @amberrylamb via Instagram. ニット 森ガールの必須アイテムはざっくりとした着心地の良いアイテム、例えばレースや、ウールなどの自然繊維からできたものなどだ。これに含まれるのは、スカーフ、指なし手袋、レッグウォーマー、ロングカーディガンなど。スカーフは汎用的なアイテムで、首に巻いても、ヘッドバンドのように結んでも、たすきのように肩に掛けても良い。栗色のウールの毛糸を選んで自分でスカーフを編み、森ガールの美学を手に入れよう!   Image courtesy of Tokyo

みなさんもご存じの白塗りフェイス——日本のストリートファッションのアイコン、みのりさんだ! 2009年に特徴のある「白塗り」メイクで突如現れ、アンティークな感性とアバンギャルドを融合させた日本のストリートファッションの全く新しいジャンルの先駆けとなった。みのりさんは伝統的なメイクに新たなスタイルを取り入れ、再び流行させただけでなく、手染めの生地と年代物のアイテムを組み合わせたり、生花で作ったアクセサリーで彼女独自のファッションを作り出している! しかし彼女の衣装は、彼女特有のスタイルを表現しているだけでなく、そこから彼女の芸術性の高さもうかがうことができる。自身を「生きる芸術作品」と称するみのりさんが、自然からインスピレーションを受けた最高傑作を披露するために世界中を飛び回り、個展『物質からイメージへ』を開催するまでになったのだ。デビューしてから10年、彼女はまだまだわたしたちをびっくりさせてくれる! みのりさんに気候変動や個展、経歴についてお話をうかがった。   みのりさんのファッションを3つの言葉で表現してください。 存在、エネルギー、調和 あなたのファッションとアートは明らかに自然からインスピレーションを受けていると強く感じます。気候変動への取り組みや関心の高さが、あなたの作品に影響を与えたことはありますか? 私は、人間も自然の一部だと思っていて、地球温暖化や水不足、人間が起こす様々な環境破壊もある意味の大きな自然の流れだと思っています。それで人間がいなく無くなったとしても地球はまだ存在しているかもしれませんし、そのあと更に別の何かが発生するかもしれません。作品には直接的に気候変動の影響があるかは解りませんが、"人間が自然の一部である"という概念は強く影響しています。 白塗りアーティストのアイコン的存在として知られていますが、この独特なメイクを始めたきっかけは何ですか? 私はもともとゴシックやロリィタ、アンティークなお洋服が好きだったのですが、服の持つエネルギーが強く、自分の顔のエネルギーと合わないなと感じていました。悩んでいたところ、友人に白塗りをしてる方がいて、その方にやってみたらどう? と誘われたのがきっかけです。 近日開催される個展『物質からイメージへ』について教えてください。物質はどのようにイメージに変化するのでしょうか? まずこの表題の物質、とは具体的には衣装、布、などを指します。 私が作った衣装を着たminoriが"写真"というイメージに変わっていく、という意味です。 目に見えないエネルギーを物質(衣装)として可視化したら面白いなと思いました。そしてそれを着て1つのエネルギー体として存在してみたかったのがきっかけです。 さまざま素材をこのような形で使うようになったきっかけは何ですか? 単純に素材が面白いと面白い表現が出来ると思いました。私は服飾学校に行ってないのでまったく裁縫の基礎がないです。だからこそ先入観がなく不思議な縫い方や裁断、形作ることを彫刻の様に作ってます。 将来の目標と夢は何ですか? 歴史に残ることです。 わあ、その回答こそ、これまで聞いてきたなかで特に素晴らしいものの1つでしょう! そのような確固たる意思はどこから来るものですか? 基づくものがはっきりあるわけではなく、小さい頃から、生きているからには死ぬまでになにかを残したいし、自分の生きていた意味を見つけたいと思ってました。今でも素直にそう思ってます。 なので、みんなもそういう思いを必ず持っているものだと思ってました (笑) 最近一番気に入ったカルチャー的なものは何ですか? それはどうしてですか? 『ボヘミアン·ラプソディー』を最近飛行機の中で見ました。まさに先日のポートランドへ行った時の帰りです。様々な苦悩があっても周りには一面しか見えない。だけどそれを抱きしめて生を全うする姿が最高でした。生きているという事を感じる人生を送りたいですね 最後にひとことお願いします。 2020年の2月26日から恵比寿にあるアメリカ橋ギャラリーにて展示を開催します。ぜひいらしてください!     Instagram Website Introduction and questions

新しい年、新しいボリューム! でも『The COMM』で新しいのはこれだけじゃない。デザイナー、アーティスト、そしてサスティナブルな活動のチャンピオンでもあるManon Marguerite (マノン・マルグリット) さんが投稿したファッションストーリーを見てください。『The COMM』のInstagramとウェブサイトを忘れずチェックし、あなたの作品を『The COMM』に載せる機会をぜひ増やしてください! ・・・ ある日、空気が腐敗し、水が枯渇し、木々が悲鳴を上げ、海が窒息する。そのとき、残った地球の自然の美しさを楽しむことができるのはほんの数人だけ——わたしたちも残された少しの自然を商品化する。その自然の美しさを、神として崇められているプラスチックで包む。そして母なる自然、わたしたちの故郷、わたしたちの惑星がそれを身に纏うのだ。恥知らずな勝利として。 この作品では、ファッション業界と自然や天然資源の、現在そして未来の対立の状況を調査する。     Model: @manonmarguerite Photographer: @manonmarguerite Model

都会に長くいると、自然が無性に恋しくなることがあるだろう。新鮮な空気を吸って、ただのんびりして、リラックスする。都市によっては、1時間もドライブすれば、緑あふれる自然に身を置くことができるだろう。しかし、もしあなたが東京のような大都会にいるとしたら話は別だ。自然に触れたいと強く感じても、日帰りするほどの時間もない、なんて時にオススメのお出かけスポットを紹介しよう。アクセスが良く、都会の中でも最も色鮮やかで美しい花々に囲まれた場所だ。   Image courtesy of Botanist. ボタニストカフェ 原宿の最新トレンドの発信地、ラフォーレからほど近いところに緑あふれるショップ、BOTANIST(ボタニスト)がある。BOTANISTはさまざまな植物から作られたヘアケア商品やボディケア商品を中心に展開する日本発のブランドだ。香りが良く、価格も手頃だ。お店はミニマリストにとっては夢のような場所だ。白を基調とした店内は広々としていて、壁には観葉植物が飾られ、まさに「清々しい」という言葉がぴったり。でも、ちょっと待って、それだけじゃない! 2階にはエステを併設しているカフェがある。ここにも同じタイプの観葉植物がいたるところに飾られ、また天井からフェアリーライトが吊るされいて、まるでちょっとした魔法が掛けられているよう。オプションが豊富なメニューは、ベジタリアンやビーガン料理も充実している。また、春メニューのサクラバーガーなど、季節限定メニューも提供している。カフェを訪れた際には、他では味わえないここだけの一品をぜひ堪能してほしい。 Instagram Website   Image courtesy of Japan Guide. 新宿御苑 東京で最も大きくて美しい公園、新宿御苑。日本庭園、イギリス式庭園、そしてフランス式庭園で構成されている。また、冬でも楽しめる温室もある! 春にはお花見が楽しめるベストスポットとしても有名だ。毎年、良い花見席を確保するために地元の人々や観光客が朝早くから大勢押し寄せる。映画の主人公になりたいと思ったことはない?

その実験対象に触れるだけでは物足りないことがある——自分が愛するものには囲まれてもいたい。ボタニスト (植物学者) とは科学者で、人工的な温室で標本植物と一緒に暮らしている。ボタニストは電球の形をしたテラリウムとネオンで光るガラス瓶に照らされ、愛する植物のごく近くに寄り添う。彼女のオフィスは青々としてみずみずしい、力強い緑に覆われたジャングルだし、キッチンは多肉植物だらけだ。葉は部屋の暗い隅からでさえ芽吹いている。もしかしたら、彼女もやがてその景色の一部になってしまうのかもしれない。     Location: Tenoha LAB Daikanyama Photographer: @ranelagh_harder Model: @risako_in_tokyo Model wears: @risako_in_tokyo Shoot

新しい年、新しいボリューム! でも『The COMM』で新しいのはこれだけじゃない。写真家のTommy Vo (トミー・ヴォー) さんがMorgan McKendry (モーガン・マッケンドリー)——またはモモ——さんをモデルとして投稿したファッションストーリーを見てください。『The COMM』のInstagramとウェブサイトを忘れずチェックし、あなたの作品を『The COMM』に載せる機会を増やしてください。 ・・・ 花と蝶に縁どられた森の妖精——彼女は光っていて、超現実的で、そして自然の中でくつろいでいる。この森の妖精の姿を写真に捉えられるなんて、極めて貴重な出来事だ。彼女は近世のルネッサンス時代の絵画が具現化したもので、奇妙なセットの中、自然的ではない光に照らされている。一目見たいなら急いで。この妖精はきっとすぐに元いた神秘の世界に戻ってしまうだろうから。     Model:

エコへの関心が高まる世界のファッション分野では、サステナビリティ (持続可能性) が最も注目を集める話題になってきている。サステナブルなファッション業界の理想的な目標は、環境とともにわたしたちの洋服を作る従業員たちの生活を守ることである。サステナブルなファッションは多くの問題と解決策がある複雑なテーマだ。以下に『The COMM』流の環境に優しい消費の例をいくつか紹介する。   Image courtesy of Lucy and Yak. 問題: 水の汚染と浪費 ブリガンガ川における有毒な染料やアラル海における綿生産による渇水など、ファストファッションは世界中の水を汚染する。化学繊維や無機繊維を洗濯するとき、わたしたちはマイクロプラスチックや化学物質を下水管に流しているのだ。 解決策:

ようこそ! 『The COMM』Vol.3第1号「素材」です! 新しい年、新しいボリューム! 全ての号と同様に、『The COMM』はCOMMunity (コミュニティー) のメンバーが中心となり、この雑誌の企画運営をしています。わたしたちはこのプラットフォームが成長し続けることを願っていますし、このグローバルなチームが提供すべき最高のものを発信していきたいと思っています。 今号では、ファッションとそれぞれの服を構成するもの、そう——素材について詳しく調査しました。素材は服の構成、体へのフィット感、そして、作品の「スタイル」を変えます。そして、もちろん素材一つ一つに誕生の物語があるのです。 ファッション、生地、論理性、サステナビリティをめぐる議論は、最近ではグローバルなモラルを中心に行われるようになってきました。ファッション業界は、衣服の創作、生産、廃棄に対する非論理的なアプローチで繰り返し批判を受けてきました。その結果、消費者は自らこの問題に取り組むようになり、サステナブルまたは論理的なスタンスをとるブランドから服を購入する選択をし、また業界を非難するようになったのです。一部のブランドは、この流れを利用し「グリーンウォッシング (※) 」で非難されていますが、それは全く別の問題です! ※グリーンウォッシングとは、環境配慮をしているように装いごまかすこと。 では、日本のストリートファッションはこのような状況にどのように対応しているのでしょうか? わたしたちは、COMMunity