12月 2019

日本のブランドのリトゥンアフターアワーズ (writtenafterwards) の今季のテーマは「フローティングノマド」。ショーのタイトルは「アフターオール」で、何かに縛られたり、囚われたりしない、ゆらゆらと自由に揺れる雲のような綿素材やボリューミーなシルエットを使用することで、浮遊感を表現した。コレクションは、このブランドのトレードマークカラーの赤、白、黒で展開された。この色は、神道の影響を表すことから選ばれたものだ。神道的な実践と自然の要素である空気の美しいコラボレーションが、この世のものとは思えない優美さを演出していた。 上野恩賜公園で行われたリトゥンアフターアワーズのコレクションは、月が昇ると同時に始まった。モデルたちは黒いビニール袋のようなものを身に纏い、裸足で噴水広場の中央を歩いた。最初は不気味に感じた音楽も、激しい木枯しにより次第に掻き消されていった。 ショーの最初の三分の一は赤、次に黒、そして最後は白で彩られた。モデル達はキビキビと軽快な足取りで歩き、衣装は風を捉え、ランウェイの上でゆらゆらと揺れていた。そのルックスは間違いなく前衛的で、全く型にはまっていなかった。ヘッドピースはどれもオーバーサイズで、モデルたちの視界を度々遮った。ドレスは布を重ねたアシンメトリーなデザイン、袖は穴の空いた布で装飾され、私たちの意表を突いた。自然からインスパイアを受けた着ぐるみ (1つは大きくて汚れた雲、もう1つは、草と泥が混ざったもの) もモデルと共に登場。着ぐるみの演出は、見るだけでワクワクさせるだけでなく、今季のコレクションの特徴的な素材を披露することが目的だった。 神道と自然は、伝統的な柄や花柄でそれぞれ表現されることが多いが、幾重にも重なった布の上に、フリルやレイヤーを更に合わせることで生み出された不協和音により、新たな命が吹き込まれたのだ。今季のコレクションはドラマティックで実験的でもあった。リトゥンアフターアワーズが次のショーでどんな世界を見せてくれるのか今から楽しみだ!     Written by Choom, translated by Michiyo. Images

11月、今年もまた文化服飾学院は門戸を開き、ファッション、ポップアップショップやパフォーマンスを有名なファッションフェスティバルで披露した。昨年の文化祭に参加したわたしたちは、今年の文化祭にもとても期待していた。 どのコレクションも生徒たちのグループが制作したもので、さまざまなスポンサー企業ついている。生徒は全員、ショーの局面すべて——コレクションそのものからモデルのキャスティング、フィッティング、音楽やリハーサルまで——に関わっている。制作はすべて生徒が行っている——なんとステージまで! この工程はプロのファッション業界に入るにあたって、最高の練習だ。ショーの企画長は、今年のテーマ『ten』によって共同と一体感が表現できたと語った1。本当に、ファッションはどこをとってもコラボレーションなのだ! ショーのハイライトにはコントラストが強い青、赤、白のカラーブロックのアウトドア用品もあった。富士山を登るのに最適だ! それに加えて、ウクライナの民族服が何枚ものレイヤーと、深い赤と緑のフリルでアップデートされて再登場した。西洋風の美しさと日本のデザインを披露するには最適な方法だ。 ファッションショーの他に、生徒が運営するポップアップショップでは生徒がデザインして共同制作した作品が販売されていた。文化服装学院の生徒すべてがファッションデザインを勉強しているわけではない——自身のショップを開くことを夢見る生徒もいる。なので、自分でポップアップショップを立ち上げ、セレクトショップのバイヤーとしてふるまう生徒も見られるのだ。そういった生徒のポップアップショップには、独特の雰囲気を醸し出すよう厳選された服とアクセサリーが集められる。もちろん、それぞれのブースはその雰囲気に合わせて変わる。CHICKS! (チックス) のブースは丸ごと1990年代と2000年代のスタイルの服で占められ、この時代のモチーフだったピンクの蝶で飾られていた。BRAIN DRAIN (ブレーン・ドレーン) のサイバー風ファッションブースはテクノロジーから着想を得たコレクションにぴったりだった。 わたしたちは3日間開催される文化祭の1日しか出席できなかった。文化祭には素晴らしい作品が展示されていて、東京から排出される次世代のクリエイティブな人たちが何を生みだすのか、楽しみだ!     Written by Choom,